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「売れるものを売るのは当たり前。売れないものを売るのがぼく」

 そうやって生きてこられたんですね。そのうち、急に「ぼくが保科有里のマネージャーだ」って、わざわざピンクのマネージャーの名刺持って、テレビ局回りはじめたりして。社長だとは知らない相手の方からは、「ちょっと間に合ってます」ってあっけなく断られたこともあったらしいんです。走り出したらとまらなくなっちゃう。

 通販ビジネスでもそうなんです。社長は、人がやってないことをやるのが大好き。そして、挫けてもまた違うことを考える。すごいんです。それで芸能関係のお仕事も手掛けるうちに、いろいろ新しいアイデアが出てくるようになったみたいです。

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社長自ら「夢グループのCM」に出るようになった理由

 通販のCMって、だいたいは有名タレントが登場して、「これ、いいですねぇ」と推薦するものでしょ。そのパターンでやってみたけど、なかなか売り上げにはつながらなかったらしいです。

 商品のクレームの電話もよく来るようになる。しかも「社長出せ」と言ってくる方がとても多い。

「だったら、私、出ましょう。逃げも隠れもしませんよ」

 自分の口で「不具合があったら、商品は交換します」と宣言した方が、ずっと潔い。実際に、社長がCMに出るようになって、クレームの数はとても減ったそうです。

自ら商品を宣伝する石田社長(画像:夢グループ公式YouTubeより)

 とはいえ、ご自分だけではまだ足りないとも気付いていたんでしょうね。やっぱり「DVD」を「デーブイデー」と発音する、昭和の香りのオジサンが一人で出てくるだけでは、視聴者の皆さんも呆気にとられてしまう。横でほどよく雰囲気を和らげる人間がいた方がいいと思われたのか。

 周りを見回して、ちょうどいいのが私だったようです。有名人や若くてキレイなモデルさんだったら、どうしても視線が商品よりそっちに行ってしまいますよね。そんなに目立たなくて、社長の指示の通りにやれる「都合のいい存在」で、しかも社員なので、ノーギャラでし(笑)。

 こうして、社長のひらめきから、社長と私の「コンビ」が生まれたのです。

 ただし、まわりからみれば、どうしても「異例の大抜擢」ですよね。要するに「社長のひらめき」だなんて誰もわからない。それで、「愛人」話が生まれたんです。「保科有里は愛人だからあんなに優遇されるんだ」って。

 愛人と誤解されるもとは、あの「安くして~ェ」の甘え声かもしれません。たぶん普段もあんなふうに甘えてるんだろう、と思われちゃってるんでしょう。

 イヤでしたよ、最初は。社長の「かわいく、甘えるように」の指示にも、必死で抵抗しました。

「こんな言い方、私、しません」「安くして~ェなんて言ったことないです」