リハーサルの段階でかなり細かく演出が入りましたし、監督がその場で新たにセリフを書き加えることも。普段の自分とスイッチを切り替えるというよりも、現場でのコミュニケーションと地続きで博雅を演じている感覚がありました。
「練習していないけれどしょうがない」と挑んだシーン
平安時代が舞台とはいえ、脚本を初めて読んだ時に受けた現代的な印象も、役への入り込みやすさにつながったと思います。
時代物ならではの所作で、一番大変だったのは乗馬ですね。何度練習しても、結局は馬のご機嫌に左右されてしまうので(笑)。
馬上から並走する馬を制御するシーンは、実は練習なしで挑みました。本番前に「そういえば、馬を連れて走るんだ」と思い出し、練習していないけれどしょうがないと腹をくくりました。
この場面は、晴明の舞うようなアクションから続いていて、さらに龍との戦いへと展開していく、重要な局面にあたります。
呪をかける陰陽師の世界と、激しいアクションとが重なり合う、壮大な世界観が立ち現れる場面なので、作品を通して特に印象に残っているシーンです。
実は原作者の夢枕獏さんとは……
陰陽師の世界を夢中で楽しんでもらえるエンターテインメントの力と、いつの間にか大事なことを受け取っている深みとを併せ持つ作品です。
実は、原作者の夢枕獏さんとはプロレス友達なのですが、陰陽師についてお話ししたことがありません(笑)。源博雅という男についても、ぜひお話を伺ってみたいですね。
やまざき けんと 1994年生まれ。東京都出身。2010年俳優デビュー。近年の主な主演作品として映画『キングダム』シリーズ、Netflixドラマ「今際の国のアリス」シリーズ、TBS日曜劇場「アトムの童」、映画『ゴールデンカムイ』などがある。今後、7月12日に映画『キングダム 大将軍の帰還』の公開が控え、Netflix「今際の国のアリス」シーズン3の制作が決定している。
そめたに しょうた 1992年9月3日生まれ、東京都出身。9歳のときに映画『STACY』(01)でデビューし、『パンドラの匣』(09)で長編映画初主演を務める。『ヒミズ』(11)でベネチア国際映画祭のマルチェロ・マストロヤンニ賞(最優秀新人賞)を日本人で初めて受賞。『悪の教典』(12)などで期待の若手俳優として躍進し、チェン・カイコー監督の日中合作映画『空海 KU-KAI 美しき王妃の謎』(17)ではタイトルロールを演じる。その他の映画出演作に、『最初の晩餐』(19)、『怪物の木こり』(23)など。
『陰陽師0』
CAST & STAFF
監督・脚本:佐藤嗣麻子/出演:山﨑賢人、染谷将太、奈緒/原作:夢枕獏『陰陽師』シリーズ/配給:ワーナー・ブラザース映画/4月19日公開 https://wwws.warnerbros.co.jp/onmyoji0/