「山道には細い道もあるので、縦1列で陛下、雅子さま、愛子さまの順で登られました。愛子さまは初めて上高地にいらっしゃったのですが、陛下が山登りに慣れていない愛子さまをエスコートしているような印象を受けました」
天皇は時折、植物を指差しながら、身振り手振りを交えて愛子さまにご説明された。ご一家が到着された明神池からは、眼前にそびえる明神岳が見える。登山好きの天皇が、明神岳について愛子さまに解説をされるような場面もあったという。
「お見送りの際には、送迎車にまず愛子さまが乗り込まれ、その次に雅子さま。それを見届けた陛下が最後にぴょこっと乗り込まれた。ご家族をすごく大切にされていることが伝わってきました」(同前)
「自分は一般の女子高生とは違う」
人見知りで内気なプリンセスは、ご両親の手ほどきのもと、少しずつ国民と触れ合う機会を増やしてこられた。女子高等科時代の愛子さまをよく知る、天皇家に近い人物は言う。
「愛子さまはごく普通の女子高生。『自分は一般の女子高生とは違う』ということは理解されていましたが、それは『こういう場面では皆さんにお手ふりをしなければならない』など、あくまで“自身のやるべきことは他の人と違うのだ”という認識に過ぎなかった。“何のために国民にお手ふりをしているのか”ということまでは、まだ理解されていなかったように思います」
高3の愛子さまに明確な変化が
そんな愛子さまに明確な変化が訪れたのは19年、女子高等科3年生の時のことだった。
この年の4月に行われた「オール学習院の集い」で、視覚障がい者を支援するアイメイト(盲導犬)後援会の鈴木節子さん(74)は、例年どおりブースを出展していた。動物好きの天皇ご一家は、毎年のようにこのブースに立ち寄られる。だが、この年は例年とは違う一幕があった。
「天皇ご夫妻はブースにいた視覚障がい者の方々と談笑されたのですが、その後、雅子さまが離れた場所にいらした愛子さまを呼びに行かれた。そして、愛子さまも障がい者の方々とお話を始められたのです。それはこの年が初めてのこと。雅子さまが皇室の役割を身をもって教えておられるように感じました」
変化は私生活にも表れた。ご一家にテニス指導をしている元テニスプレーヤーの佐藤直子さん(69)は語る。