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未舗装の1車線ぎりぎりの上り坂、深い切り通しの先にあった隧道。隧道内部はコンクリートで固められることなく、素掘りの状態。隧道の中には、丸太を組んだ東屋のようなものが見える。そして、隧道には高さ制限の標識が掲げられている。
道路標識は道路交通法に基づいて設置されるもので、個人が勝手に設置すると違法行為になってしまう。つまり、この隧道はきちんと管理され、公安委員会が高さ制限標識の必要性を認めたということになる。こんな山奥の未舗装道路、しかも素掘りの隧道に……いったいなぜなのか。
「東屋のような建造物」の謎
訪問前に想定していた以上の珍隧道に衝撃を受けながら、内部へと進入する。
気になるのは、やはり東屋のような構造物だ。通常、トンネルや坑道を掘る際、崩壊しないように支保工と呼ばれるつっかえ棒のような支えを設ける。東屋も支保工の一種かと思ったものの、よく見ると天井に接しておらず、何も支えていない。
支保工ではないとしたら、他に考えられる用途は、隧道内から落下してくる石や砂を防ぐための覆道(ロックシェッドやスノーシェッドが代表的)としての役割だ。しかし、隧道内に覆道があるなんて、見たことも聞いたこともない。
隧道は20メートルほどしかないが、ほぼ全長にわたって屋根が設けられている。丸太でしっかりと組まれており、多少の砂や小石が落ちてきても、しっかりガードしてくれるだろう。天井部分は屋根に覆われているが、左右は支柱の間から剝き出しの山肌が見える。
隧道を通り抜けると、つい、これまで進んできた道を振り向いてみる……。