大谷のメジャー初アーチの記念球をゲットしたのは?

 ちなみに、大谷のメジャー初アーチの記念球をゲットしたのは、当時9歳の地元オレンジカウンティ在住のマシュー・グティエレス君。同33歳のインディアンスファンのクリス・インコーバイアさんが手にし、後ろに座っていたエンゼルスファンのマシュー君にプレゼント。

 好きな選手に大谷、プホルス、トラウトを挙げたマシュー君は「将来はメジャーリーガーになりたい」と目を輝かせていた。地元の少年野球チームでは投手、捕手、内外野もこなし、大谷も顔負けのマルチプレーヤーである。記念球は球団を通じて返したが、試合後に憧れの二刀流と記念撮影。サイン入りのバットとボールを直接手渡され、とてもうれしそうだった。

 翌4日のインディアンス戦でも2点を追う5回に2試合連発となる中越え2号同点2ランを放った。前年に2度目のサイ・ヤング賞を獲得したコリー・クルバーを攻略。本拠地デビューから2戦連発は球団史上6人目で新人では初。また歴史の扉を開いた。

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 2点を追う5回2死二塁。大谷がクルバーのマイル(約148キロ)外角直球を捉えた。打球は中堅後方へ伸び、エンゼルスタジアム名物の「ロックパイル」と呼ばれる岩山の麓に飛び込んだ。

「今日も確信はなかった。二塁に走者がいて、安打でいいと思ってしっかりコンパクトに打ったつもりだった。なんとか越えてくれて良かった」

©文藝春秋

現地テレビの実況も「うそだろ? 現実離れしている」と…

 クルバーと初対戦となった3月14日のオープン戦では徹底的に内角攻めを受け、バットも折られた。何度も映像で球筋を確認し、リベンジの時を待った。「今日も内角がしっかりきていた。レベルの高い投手。投げミスが極端に少ない」。頭と体に内角球の残像を刻みつつ、外角球にしっかり踏み込んだ。過去の対戦、そしてこの日の1打席目の攻め方を受けての対応力が、2試合連発を生んだ。

 こうなるともう訳が分からない。試合のないオフを挟み6日の本拠地アスレチックス戦では3戦連発となる中越え3号ソロを放った。0ー6の2回、大谷が94マイル(約151キロ)のツーシームを強振すると、打球は中堅をはるかに越え「ロックパイル」と呼ばれる岩山の水場に着弾。水しぶきが舞った。

「芯でも捉えていたし、しっかりと自分のスイングが形良くできていたんじゃないかな」。メジャー初登板初勝利した際、投げ勝ったアスレチックスのダニエル・ゴセットを今度はバットで粉砕する3戦連発。現地テレビの実況も「うそだろ? 現実離れしている」と叫ぶほどだった。