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 トッド 「保護主義」に関して最初に本を書いたのは、1998年のことです。『経済幻想』という本で日本でも訳されています。ですから30年近く「自由貿易批判」を展開してきました。ある日、私の末っ子が、「自由貿易にもいいことがある」という授業を受けて驚いて帰ってきたことがありました(笑)。トランプの勝利は、私の思想的勝利だと受けとめています(笑)。

 いずれにせよ、人々が問題の深刻さに気づくのが遅すぎました。米国、英国、フランスなどでは、グローバリゼーションによる生産基盤の海外移転が進みすぎて、もはや後戻りができなくなっている。

英語圏では“禁断の書”となっているトッド氏の新刊『西洋の敗北』(文藝春秋)

 こうした産業空洞化の悪影響は、経済面だけに留まりません。「破壊」は道徳面にまで及んでいます。(略)

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「民主主義」は「消費者」ではなく「労働者」によって支えられるもので、そうした「労働者」が消滅したことで米国の「自由民主主義」は「リベラル寡頭制」へと変質してしまいました。トランプを支持しているのも「労働者」というより、基軸通貨ドルの恩恵の下で生活している「消費者=平民」なのです〉(通訳=大野舞)

「資本主義+民主主義」に代わる新たな体制はあるのか?

 エマニュエル・トッド氏と成田悠輔氏の対談「日本は欧米とともに衰退するのか」では、このほか、「資本主義+民主主義」に代わる新たな体制はあるのか? 敗北した米国に日本と台湾を守る余裕はあるのか? など、刺激的な議論が展開される。

 その全文は、12月10日発売の「文藝春秋」1月号(「文藝春秋 電子版」では12月9日公開)に12ページにわたり掲載されている。

文藝春秋

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