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西武・菊池雄星が語る“みんなが求めている姿”になるということ

文春野球コラム ペナントレース2018

2018/06/21
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昨年訪れた野球人生で数少ないターニングポイント

 これほどまでに、圧倒的な存在となることを自らに課せる自信がついたのは、実は、昨年のことだと明かす。

「去年、フォームが固まったことによって、ボールの質もコントロールも明らかに変わった。小さい頃、初めて50m投げられるようになって、『野球が上手くなってる!』と、目に見えて思えたような、『少し、上手くなってきたな〜』という、第2の波みたいなのが、去年、久しぶりに起こったんです。それって、あんまり多くなくて、中学の時に、1年間で20kmぐらい球が速くなった時と、高校で1回、そういうターニングポイントがあったぐらい。それが去年訪れて、『俺、もっと野球が上手くなれる。もっともっと、上手くなりたい』って、自分の可能性を感じたんです。そこから、また野球が、より一層好きになりました」

 野球人生における、数回しか訪れない岐路を歩む中、両親への感謝にも改めて思い至ったという。“gift(ギフト)”という言葉で、菊地投手は表現した。

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「自分で言うのもなんですが、こういう身体、スピードの出せる能力は、全員が全員授かるわけではない。これは、英語で言うと“gift”というそうですが、親からもらった宝物。せっかくもらったんだから、磨き続けなければ失礼になる。『これぐらいでいいや』なんて、絶対に思っちゃいけないなと、去年から思っています」

野球人生におけるターニングポイントが昨年訪れたという菊池雄星 ©上岡真里江

 6月17日、27歳の誕生日を迎えた。プロ野球選手は、27歳から32歳ぐらいまでが最も脂が乗る時期だという説もあるが、菊地投手も、そのことを非常に強く意識している。「つまり、僕にとっても、ここからの5〜6年が、プロ野球人生で一番頑張らなきゃいけない5年間。もう1回アクセルを踏み直さなければいけないと思っています」。

 復帰後は、3戦2勝0敗、防御率0.86(6月20日終了時点)と、安定感抜群の投球を披露している。「投げるごとに、自分の納得のいくピッチングができている」と、本人も着実なる進化を感じ、頷けば、チームメイトたちも、100%の状態で戻ってきた頼もしき背番号16の姿に、「雄星の投げる試合は、絶対に負けられない」と、より一層モチベーションを高めている。その存在が、間違いなくチームに安心感がもたらす。これぞまさに、菊池雄星が、西武ライオンズの絶対的エースであることの何よりの証明だろう。

 見ている人がワクワクし、投げている自分も楽しめるピッチングを目指し、授かった才能を、磨き、研ぎ澄まし続けていく。誰よりも、自分が自分自身に期待し、果てしない可能性を追い求めていく。そのための勉強、トレーニングを一切怠らない。

“雄星プライド”は、孤高の努力によって裏付けされているからこそ、揺るぎなく、誇り高い。

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