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文春野球コラム

東北組と関西組の絶妙なハーモニーが“強い西武”を作ってる

文春野球コラム ペナントレース2018

2018/05/23
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 開幕から快調に勝ち星を増やしていった西武は、GW中の9連戦を7勝2敗で終え、トータルで16の勝ち越し(5月6日時点)。ところが、その後失速気味で、GW明けは9試合で2勝7敗(5月20日終了時)。深刻なのは、7敗のうち5敗が零封負けと自慢の打線が下降線をたどっている。でも、まだ二桁の勝ち越しがあるので、そんなにバタバタすることもないだろう。ペナントレースは長丁場なので、好不調の波は当然やってくるもの。ひとつ、長い目で。

試合前、客席に投げ入れるサインボールを準備する秋山 ©中川充四郎

出身校は東北、関西が主流

 その西武の主力組を見ると東北、関西の大学、高校出身選手が多い。野手では八戸大の秋山翔吾、富士大(岩手県)の山川穂高、外崎修汰が東北組。そして大阪桐蔭の中村剛也、浅村栄斗、森友哉、岡田雅利、育英の栗山巧、平安の炭谷銀仁朗、立命館大の金子侑司が関西組になる。その日のオーダーによって、9人のスタメンのうち、源田壮亮(愛知学院大)以外は上記の選手が占める時がある。投手に目を向けると先発組では花巻東の菊池雄星、富士大の多和田真三郎。中継ぎでは旭川工の武隈祥太が東北組。

 なぜ出身校の地区が偏っているのかは分からないが、球団フロントと担当スカウトの努力と眼力によるものだろう。2006年オフの大学・社会人ドラフト会議の希望枠で東北学院大の岸孝之(現楽天)を獲得した。当時は資金力が豊富な人気球団も獲得に向け動いていたが、名取北(宮城県)時代から熱い視線を送っていた担当スカウトの誠意が伝わったとの報道を目にした。もちろん、スカウトとアマチュア選手の接触は出来ないが「視線」は、しっかりと伝わるもの。

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 かつての西武黄金期を築き上げた根本陸夫管理部長時代は、ドラフト外獲得やちょっとした「抜け道」などがあり、それはそれでドラフトの楽しみ方でもあった。当時のフロントの話によると、他球団のスカウトは予算の関係で担当地区を網羅できないため、他球団との情報交換もあったようだが、西武の場合は根本部長の意向で独自で動く「一匹狼」を命じられていたという。おそらく、現在もその姿勢は続いているのではないだろうか。

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