1月29日、ピアノで流暢なメロディを奏でる男性の後ろ姿が映された3本の動画がSNSにアップされた。

 この投稿から5日後の2月3日、東大阪の山中などに国土交通省職員の神岡孝充(たかみち)さん(52)の死体を遺棄したとして逮捕されたのが、このSNSの投稿主とみられる大木滉斗(ひろと)容疑者(28)だった――。

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 社会部記者が解説する。

「大木は、12月27日に同じマンションに住む神岡さんが自宅から出てきたところを首を絞めて殺害し、被害者の家で解体したと供述している。翌28日、金髪のかつらを被り変装した大木は遺体の入ったキャリーバッグを持って電車に乗り、遺棄現場である生駒山に移動した」

大木滉斗容疑者 ©︎朝日新聞

 神岡さんの遺体が見つかったのが犯行からおよそ1カ月後の1月25日。警察は大木の行方を探していた。

「1月中旬から行方が分からなくなっていたが、2月2日、和歌山県の三段壁付近をうろついていたところを発見され、身柄を確保。翌日に死体遺棄の疑いで逮捕した」(社会部記者)

 2人は同じマンションの別の階に住んでいたが、トラブルなどは現在までに確認されておらず、神岡さんを狙った経緯なども引き続き調べている。だが、犯行を起こす1カ月前頃から、大木がマンション内で起こしていた奇行をマンション住人らが度々目撃、あるマンション住人は、大木が職場の前に立っていたことがあったなど恐怖体験を「週刊文春」の取材に明らかにした

 捜査は進み、2月23日、大木は強盗殺人容疑で再逮捕された。

「お金がないので殺すしかなかったと話しているといいます。奪った金品は借金返済や生活費に充てたとみて捜査している。その背景として、大木には少なくとも200万円の借金があったとみられています」