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「犯人はいるか」「僕です」
「ズボンや靴にまでぐっしょりと血がついていたので、もう亡くなっているだろうと……。女性の横には帽子を被って黒いジャンパーを着た男が立っていた。日本人の方が通報していて、その後5分くらいして警察が駆け付けた。その時は『事故が起きたのかな』と思ったのですが……。後からその男が犯人だったと知り、驚いています」
女性の横にいた男は落ち着いた様子だったため、現場に集まった人々も、まさかこの男が凶行を働いた張本人だとは思わなかったようだ。逮捕の瞬間に居合わせた別の男性が語る。
「男は落ち着いた様子で、女性の顔にスマホを向けていました。男は警察官に、『犯人はいるか』と聞かれ、『僕です』と手を挙げ、逮捕された」
「生きてて」「助かりますように」
被害女性は「最上あい」という名義で活動する配信者で、事件当時も「3.11 山手線徒歩1周」と称する企画をリアルタイム配信していた。SNS上では、配信中のスマホが映しだした緊迫した現場の様子が拡散されている。配信のコメント欄には「生きてて」「助かりますように」といったコメントが多数書き込まれた。
「まだ心の整理がつきません。現実だと思いたくない」
そう言って涙を流したのは、被害女性が配信する動画の視聴者の50代男性だ。ニュースで事件を知り、手を合わせに現場を訪れた。