『ゴッドファーザー』三部作(72~90年)、『地獄の黙示録』(79年)など、映画史に偉大なる足跡を残してきた巨匠フランシス・フォード・コッポラ。40年以上前から構想を温め、80歳を超えて完成させた新作『メガロポリス』がついに公開となる。コッポラ自身が「野心的な作品」と称する本作。セカンドユニット監督を務めたフランシス・フォード・コッポラの次男、ロマン・コッポラ監督が思いを語った。

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父は非常に興味深い経歴を重ねてきた人

──本作の構想については、いつ頃、どのようにお聞きになったのですか?

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ロマン・コッポラ監督(以下、コッポラ監督) 僕の記憶では、父が『コットンクラブ』(84年)を制作していたときにはじめて、本作の構想を聞いたんじゃなかったかな。

 父は、映画監督としては、絶大な成功を収めたかと思えば、経済的に窮地に立たされるなど、非常に興味深い経歴を重ねてきた人。自ら企画したアイデアで自由に作品を撮ることもあれば、財政的に厳しい状況のなかで請負企画のような形で映画制作に携わることもありました。

『コットンクラブ』は、まあいってみれば、後者側の作品だったので、そういう環境のなかで、いつか自分で自由に撮りたい作品として『メガロポリス』を構想していったのではないかと思っています。

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18歳ではじめて父の仕事を手伝った作業が本作の根底に流れている

──ロマン監督が制作に参加されたのはいつ頃ですか?

コッポラ監督 構想当初から、と言ってもいいかもしれないね。

 というのも、僕は高校を卒業して18歳くらいの時に、今で言うスキャニングのような作業ではじめて父の仕事を手伝った。その時にスキャニングしたデータが、本作の企画に大きく関わっているからです。

 今ならスマートフォンでも簡単にスキャンできるけど、当時はスキャナーすらない時代。大量の写真をレーザーディスクに書き込んで、カメラでそれを撮影していくというスタイルで作業をしていた中に、本作の冒頭で象徴的に登場するニューヨークのクライスラービルが入っていたんだ。ほかにも、いろいろな写真や映像が当時のデータからイメージされ、ポスターにまで登場しているので、この時の作業が本作の根底に流れていると、僕は感じています。