相次いでいるゾッとする報道

 せめて偽情報が出回っていることを報道することはできないのだろうか? と当時感じた。そうした意味では私も「オールドメディア」にはかなり不満だったのである。取材をして裏付けをとる訓練を長年している「オールドメディア」はまだまだ利用できる価値があるはずだ。また、兵庫県知事選ではプロの業者がSNSで情報を仕掛けることを「種まき」「育成」「収穫」と言い、斎藤支持者の扱いを自慢げに選挙後に語っていたこともあった。そんな状況下ではなおさら既成メディアの情報も求められる。

 知事選後には各新聞社が検証記事を載せるようになったが、それなら注目は今夏の参院選だ。全国紙も地元紙も、ついでにテレビも、選挙報道は本当に改善されるのか。大注目ではないか。

 さてその斎藤知事だが「斎藤知事、減給50%3カ月案 兵庫県、条例改正案提出へ」(共同通信、2025年6月3日)というニュースがあった。知事の疑惑を告発した人の私的情報を元総務部長が漏らした問題を受けての「処分」案である。

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 しかしこれにはゾッとする報道が相次いでいる。

・兵庫漏えい、「知事の指示」複数証言…「議会に根回し」を第三者委が認定(読売新聞、5月28日)

 告発者の私的情報の漏えいを指示していたのは斎藤知事の可能性が高いと結論づけたのである。県の第三者委員会が複数の県幹部の証言を基に認定したのだ。なんと! そして、やっぱり!

 情報を漏えいしたのは斎藤知事の側近の一人、前総務部長の井ノ本知明氏。井ノ本氏は「知事らの指示に基づく正当な業務だった」と第三者委に主張。昨年4月はじめ、斎藤知事らを内部告発した元西播磨県民局長の公用パソコンに私的情報を含む大量の文書があったことを知事に報告した。知事はその場で、「そのような文書があることを、議員に情報共有しといたら」という趣旨の発言をした。