6月10日、山尾志桜里元衆院議員が会見を開き、7月の参院選出馬を改めて表明した。一方、記者からは「週刊文春」が報じてきた弁護士との不倫問題に関する質問が何度も飛んだが、「言えない」と回答することはなかった。

 彼女が会見の冒頭で自ら切り出したのが「議員パスの不適切使用」だった。山尾氏に関する記事を再公開する。(初出:2021年5月6・13日号 年齢・肩書等は公開当時のまま)

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 国民民主党の山尾志桜里衆院議員(46)が、国会議員に付与される「特殊乗車券」、いわゆる議員パスの不適切使用を重ねていたことが、「週刊文春」の取材でわかった。

山尾志桜里 ©文藝春秋

 国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律に基づき、全ての国会議員に付与されている議員パス。一般的に、選挙区内の移動や公務出張の際には、新幹線、特急、指定を含むJR全線を無料で利用できる。

 山尾氏が議員パスを不適切に使用していたのは、4月3日土曜日のこと。山尾氏はこの日、午後2時半頃に三鷹駅の有人改札から議員パスで入場し、吉祥寺駅を議員パスで出場。駅ビルのマッサージ店で1時間ほどの施術を受けると、再び議員パスを使って入場し、中央線から山手線に乗り換え、恵比寿駅で出場した。駅ビルで総菜を買い、近くのラーメン屋で小腹を満たすと、酒屋に立ち寄った山尾氏。その後、タクシーに乗って向かったのは、かつて不倫が「週刊文春」に報じられた倉持麟太郎弁護士の自宅だった。

議員パスを提示して入場 ©文藝春秋
わざわざ有人改札を探すことも ©文藝春秋

 山尾氏はこの日以外にも、4月10日土曜日、4月17日土曜日など週末を中心に、マッサージや買い物などプライベートを楽しむ目的で議員パスを不適切に使用していた。

 4月25日、都内で山尾氏を直撃した。

――お買い物やエステに行かれるときも議員パスを使用されていることを確認しているのですが。

「ごめんなさい、全部紙でいただけますか」

――国民の血税ですので。

「全部紙でいただけますか」

 改めて山尾事務所に事実関係の確認を求める質問状を送ったが、以下のように回答した。

「法規にのっとり対応しております」

倉持氏

 政治倫理に詳しい、神戸学院大学の上脇博之教授は次のように指摘する。

「議員パスを使用できるのは公務出張などの職務の遂行に資する時のみです。マッサージや買い物、交際相手との面会など、私的に使用すべきではありません。使用に際し、疑義が生じた場合には、公人としてきちんと説明責任を尽くすべきです」

 議員パスを巡っては、2009年に当時の鴻池祥肇官房副長官が愛人女性との熱海旅行に利用していたことが発覚し、官房副長官を辞任した。“議員特権”として国民からの批判も大きいだけに、山尾氏には透明性のある説明が求められる。

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「週刊文春電子版」では、山尾氏の一連の問題を報じた記事を公開中。倉持弁護士との“禁断愛”を捉えた決定的瞬間や、弁護士の元妻の慟哭手記を掲載している。

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