母親は抗議したが結局保護者会は中止になった。市の教育委員会に助けを求めたが、教育委員会も学校の判断に同調したという。

「『訴えたらいいのか?』と電話で怒鳴ってしまったんですが、教育委員会の担当者には『訴えたら困るのはそちらですよね?』と言われました。あまりにも頭に来て、そのまま電話を切ってしまいました」

 そして12月11日から、ツトムくんは学校へ行けなくなった。

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いじめにあうまで、ツトムくんは学校で一度も泣いたことがなかったという 家族提供

「ツトムはそれまで学校生活で泣いたことはなかったんですが、初めて大泣きをしました。それ以降は、YouTubeでいじめや自殺に関する動画を探すようになりました。『学校に嘘をつかれた』と悲しんでいました」

 ツトムくんの母親は警察にも相談していたが、それも事態の改善にはつながらなかったという。

「学校が事態に対応しないことや、学校として謝罪してもらうことはできないかと相談していたんです。しかし、『証人がいないからできない』と言われ、聞き取りもされませんでした」

 ツトムくんの不登校は冬休みをまたいでも続き、25年1月7日には精神科で「適応障害」の診断を受けた。診断書には「睡眠の入眠困難、途中覚醒がみられ、また登校に対する恐怖心があり、その為登校困難の状態にあり、さらに今後どうすれば良いかに関しての強い不安が認められる」と、症状が書かれている。

 ツトムくんが学校へ行けない間も、学校側はAやクラスへの聞き取りを行ってはいた。しかしAは加害行為を認めず、それ以上の対応はなされていなかった。

「ちゃんと対応してくれると思った私がバカでした」

 母親は3月に入ると、「いじめ重大事態調査」の申請書を市教委あてに郵送した。その後、一転してAが加害行為を認めたため、「いじめ重大事態」と認定。8月からは第三者委員会による調査も行われることが決定した。京都市の教育委員会によれば、市内の公立学校でいじめ重大事態による第三者委員会が設置されたのは初めてだという。 

ツトムくんはかつての活発さを取り戻すことができるだろうか

 並行して、3月にはツトムくんの転校もようやく認められた。

「引っ越しをしないで転校するには校長の許可が必要なのですが、いじめが大事になるのを避けたかったのか、なかなか認めてくれなかったんです。保護者会も開いてくれないし、Aの話は聞くのにこちらの要望は『やります』と言うばかりで何もしてくれない。ちゃんと対応してくれると思った私がバカでした。ここまで問題が長引いたのは校長のせいだと思います」

 ツトムくんは4月からは新しい学校に登校を始めているが、病院への通院も続いている。Aとは離れられても、聴力の回復はやはり望めないという。

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