懲役は…
公判では井伏は泣きづめで、涙ながらに次のように語った。
「非常識なことをしたと思うけど、馬乗りになって首を絞めたり、脅したりしたことはありません。事件から1週間後、被害者の母親から『名古屋ではスケートができなくなったから、東京へ引っ越したい。引っ越し費用として200万円欲しい』と言われ、翌日には弁護士から電話がかかってきて、『あなたのやったことはレイプです。私の娘だったら殺すところだ』と脅され、1億円を要求された。
私はショックのあまり吐血した。マスコミに報道されて地位も名誉も失った。家も売却することになった。私は被害者の膣の中に陰茎は入れていない。被害者の供述調書を見てウソだと思った。演技だと思う。ウソをついている被害者が悪いと思った。私は無罪です」
井伏が無罪を主張する根拠は「首を絞めていない」ことと、「陰茎を最後まで入れていない」ことだ。わずか13歳の少女に56歳の男が手を出したことが問題になっているのに、最後まで自己保身に明け暮れているところが見苦しい。
A子は事件後もPTSDに苦しみ、不眠が続いているという。A子を診察した医師によると、処女膜には傷がなく、膣内にも傷はなかったが、膣から肛門にかけて裂傷があり、「処女膜までいかないところまで陰茎が挿入されたとみられる」とのことだった。
裁判所は「コーチという強い立場を利用した犯行で非常に悪質。被害者にPTSDなど肉体的、精神的な傷を与えた結果は重大。被害者の証言は具体的で、不自然な点は見当たらない。合意の上だったなどとする被告人の供述は信用性に乏しい」として、懲役7年を言い渡した。井伏は控訴審や上告審でも争ったが、いずれも訴えを棄却され、刑が確定して服役した。
