22泊23日の超長期合宿が大きな話題を呼んでいる進学塾「ena」。8月20日に「週刊文春 電子版」が配信した記事では、講師・受付スタッフの大量退職が起きていたことを報じた。さらに取材を進めたところ、都立日比谷高校一般入試において、受験時にena在籍生徒の合格者数が26名だったにもかかわらず、後に同塾が公式に発表した合格者数は71名となっていたのだ。

 enaは、都立中学・高校受験の対策に定評があり、都内を中心に230校舎を展開する。近年、重視するのが都立高最難関・日比谷高校の合格実績だ。同高は25年の大学入試で、東京大学へ81名合格し、全国の東大合格高校別ランキングで5位に大躍進を遂げている。

学究社本部(同社HPより)

「enaのカウントの方法はあまりにもセコい」

「週刊文春 電子版」は、日比谷高校合格発表日の3月3日にena内で共有された資料を入手。それによれば、同塾で「内生」と呼ばれる、受験期にenaに在籍登録がある生徒の日比谷高合格者数が26名となっている。

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 ところが、だ。

「翌日、本部から届いた報告メールでは、日比谷高合格者数が26名から71名と、劇的に増えていたのです。進学塾の合格実績については、大手塾も含めて様々な疑惑が取り沙汰されています。ただ、enaのカウントの方法はあまりにもセコくて、一線を越えています。『都立中・都立高合格実績No.1』の看板を死守するため、なりふり構わず合格者にアプローチしているのです」(現役講師 ※71名には推薦合格者も含む)

 enaでは、「10時間以上の指導実績のある生徒」を合格実績にカウントしている。

「在籍中の生徒を『内生』、それ以外の生徒で10時間以上の指導実績のある生徒を『継続指導生』と呼びます。問題は後者の『継続指導生』で、そのネーミングと異なり、実際は“継続的に”指導している生徒のことではありません。日比谷高合格者数激増には、この『継続指導生』が貢献しているのです」(enaを運営する学究社社員)

   学究社に、日比谷高校の合格者数について、合格発表日の時点で同塾の内生合格者数が26名だった資料の存在を示し、「継続指導生」の積み上げによって一晩で71名に増えたのかと尋ねたが、「事実ではありません」と答えた。

 現在配信中の「週刊文春 電子版」では、日比谷高校のena生合格者数が、いかにして一晩で26名から71名に激増したのか、現役社員らの証言と証拠を基に詳報している。

追記(2025年9月2日)

 9月1日付で株式会社学究社から「訂正の申入れ」が届きました。
 骨子を以下に追記いたします。 

 申入れによれば、都立日比谷高校の合格者数は、

 3月3日時点(速報値):合計48名
  一般入試合格者:26名
  推薦入試合格者:22名(確定値)

 3月4日時点(確定値):合計71名
  一般入試合格者:49名
  推薦入試合格者:22名(確定値)

 であり、「日比谷高校合格者数が一晩で26名から71名になった」という記載は事実誤認であるとの見解を示しています。

 一般入試合格者数が一晩で26名から49名に増加した点については、「合格発表と同時に合格者数の全数を把握できるものではありません」、「当日、翌日は調査が進み合格数が増加するので、1日5回ほど全ての都立高の合格者を集計します」としています。

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