ビールを飲んだ後でも研究
バレーボール部で磨いたリーダーシップは、研究の場でも発揮された。
「2003年に京都・貴船の宴会場で、北川先生が呼びかけ、研究プロジェクトを成功させようと研究者が集まった宴席がありました。そこでお酒を飲んで一晩中議論し、最後は皆で雑魚寝でした。あの雑魚寝で結束力が高まり、プロジェクトを進めることが出来ました。そういう席に全国から北川先生を慕う多くの研究者が集まるのです。人徳でしょう」(東京理科大の西原寛特任副学長)
一方、酒豪伝説の逸話にも事欠かない。
大学院生時代、増田氏が北川教授と2人で夕食によく足を運んだのが大学近くのラーメン屋だった。
「1杯120円の味噌ラーメンと6個100円の餃子を注文し、まずは瓶ビール、そして日本酒へ進むのがお決まりでした。今でこそワインを飲むようになりましたが、彼はもともと生粋のビール党で、彼も私も酔い潰れたことがない。もちろん、飲んだ後は研究室へ戻って研究です」
恩師である近畿大学名誉教授の宗像惠氏も続ける。
「研究が終わって一緒に飲んでから帰宅したときのことです。彼は飲んで帰った後、家族にバレると家で酒が飲めないので、(酒のにおいを隠すため)奥さんの方を見ないで、そっぽを向いてまで家で飲み直したそうですよ」
「ただのおじさん」と謙遜していたが…
北川教授も頭が上がらない妻との出会いは、大学院生時代だった。
「男女が参加する飲み会、いわゆる“合コン”で知り合った。鴨川沿いをよくデートしたそうです。身長が高く良い男なので、奥様から逆プロポーズをされた学生結婚と聞いています。しっかりした奥様で、息子さんお二人を立派に育て上げられました」(知人)
趣味の1つは読書。学術書だけでなく小説や漫画まで幅広い。愛読書は例えば医師が過去にタイムスリップする漫画「JIN-仁-」。
「全巻揃えるほどのお気に入りです。幕末・明治の時代が好きなのかもしれません」(増田氏)
世界的な研究業績をあげる傍ら、多彩な趣味を持つ北川教授。記者会見では「ただのおじさん」と謙遜していたが、決してそうではない“超人伝説”に驚くばかりだ。

