「僕の予想通り、包茎手術は大当たりだった」――日本で包茎治療手術を広めた、医師の高須克弥氏。なぜそこにビジネスチャンスがあると思ったのか? ヒットさせるために何をやったのか? 全身に転移したがんと闘う高須氏が、集大成として“最期の言葉”をつづった一冊『高須の遺言』(講談社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)
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「包茎手術」が日本中に広まった理由
高須クリニックを作った時に、さっき話した立川美容外科の先生から教わった処女膜再生手術も手がけて好評でしたが、まずは熱効率の良い仕事を……と思った。
そこで思いついたのが包茎手術だったの。
ドイツに行っている時にユダヤかそうでないかを、チンチン(の包皮)を見て判断するのを知ったな、と。ユダヤ教徒は割礼しているから切目が入っているの。旧約聖書を見ると、「割礼せよ」って書いてあるから、ものすごい人数が割礼しているんだって知った。その時に日本人は割礼しないけど、もしも日本人がユダヤ教徒やイスラム教徒のように割礼すれば、ものすごい市場になるな……ってふと思ったの。改宗させようと思ったわけではないんだけど。
どこから包茎か、というと亀頭が皮で覆われていればすべて包茎と言える。包茎手術をすべきかと聞かれれば、それは二重瞼にすべきかどうか、と同じことでしかないんだけどね。保険でやれる包茎手術もある。それはまったく亀頭が出ない真性包茎。中が炎症を起こして亀頭包皮炎になったりすると病気になるから、切ったほうがいいに決まっているんです。
当時は包茎手術を認知させるために、まず人々の意識を変えさせる必要があった。包茎手術を受けるという需要を掘り起こす必要があったんです。
それはなんでも同じ。脱毛もハゲも、全部そう。一見どうでも良さそうなものをタイアップ記事とかで誰かに、「包茎はダサ~い!」「胸毛なんて生えていたら、キモ~い!」って言ってもらえば良いの。「スネ毛が生えているのはダメ!」とかね。そしたらみんな、「包茎は治さなきゃ」とか「毛は抜かなきゃいかん」って焦るでしょ。『週刊宝石』で僕は人生相談の連載を持っていたんだけど、結論はいつも「包茎を早く直せ」っていう同じオチだった。
ちなみに『週刊宝石』には同じような連載ページが三つあって、僕の他は武富士の武井保雄さんと法の華三法行の福永法源さん。今となっては、みんな犯罪歴がある人たちでした。
そして、僕の予想通り、包茎手術は大当たりだった。
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