「負けるヤツのほうに行っちゃダメ」――日本の美容医療を切り拓いた高須克弥院長(80)が語る、“成功の方程式”。包茎手術で一山当て、クイック式二重術を生み出し、ついには“陸の孤島”にヘリポートまで作った、その原動力はどこにあるのか? 新刊『高須の遺言』(講談社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/最初から読む

高須克弥院長の「成功哲学」とは?(写真:本人提供)

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包茎手術が大ヒット!

 そして、僕の予想通り、包茎手術は大当たりだった。

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 それまであった器具も新たに改良して、全部機械的にやれるようにした。クランプ式の器具を被せて、万力みたいなので締めると血流が止まって、そこをレーザーで切って、包茎手術は終わり。そのままにしておくと、勃起した時にパカアッと傷が開いちゃうから、そこを最小限度で縫って。風呂に入っても傷が開かないようにくっつけるためのボンドもあって、それらを流れ作業でやる。トヨタ自動車と一緒。車体が流れてきて、タイヤを付けたり、いろんな作業をする。朝から晩までやりましたね。

 処女膜再生もそうだけど、やはり包茎手術も、近年はほとんど客がいない。草食系男子とか肉食系女子の影響なのか、これにも時代による価値観の変化を感じるね。

 僕のスタッフは、「自由診療の美容整形では、ちょっと治療しただけでお金がもらえる!」って喜ぶ人が多いけど、それは給料をもらう側だから。僕は、自分で面白いなと思ってやっていたら、みんなが好き勝手な見方と評価をしてくれただけのことで、別に“こうあるべきだ”と思っているのではない。

 自由診療のほうが儲かるのは確かだけどね。でも、それは手こぎボートとエンジン船の効率比較と同じ。保険適用は、「これだけ一生懸命に櫓を漕いだのに、こんなにスピードが出ないのかよ!」って文句を言っていたのに、船を乗り換えて自由診療にシステムを替えると、「ウォー、こんなにスピードが出た!」って喜んでいるようなもの。なんてバカなことをしていたんだろう、とは思った。

 高須病院って、約200ベッドあって、従業員が700人くらいいる病院なんです。

 でも、名古屋の高須クリニックは従業員が7~8人。看護師が4人いて、事務員が3~4人いる。それなのに高須病院と、売り上げが同じくらいなんです。

 周りのスタッフは、お金にしか興味を持っていないから、給料が上がって良かっただろうけど、僕は別に稼いだって、自分の生活が潤うわけじゃないから。

 博打とよく似ていて、次々勝ってくると面白くってまた打ちたくなるの。それで、どんどん進んでいったの。僕と気が合って、106億円の資金を不正利用した大王製紙前会長の井川意高君とよく似ている。