院長の給与が経費の5分の1

 20年度の厚労省の医療経済実態調査をもとに、財務省で一般診療所の費用構造を分析したところ、平均の年間経費1億5000万円のうち、医師給与は4000万円で、うち院長が3000万円だった。医師以外の医療従事者や事務員らの給与は4000万円、給与費以外の費用は7000万円で、医薬品・材料費2500万円、減価償却費600万円、機器賃貸料300万円などとなっており、院長の給与が経費の5分の1を占めた。日医は医療従事者の3%以上の賃上げを求めていたが、財務省は診療所の費用構造の分析から、増えた分の利益剰余金1900万円は、医療従事者の3%の賃上げに必要な経費(医師以外の医療従事者の給与の合計額4000万円を前提とすると140万円)の14年分に相当すると結論づけ、診療所の医療従事者の賃上げはストック(蓄え)で十分対応できると示した。

 財政審の会見録によると、分科会長代理の増田寛也は終了後の会見で、初の機動的調査について「(これまでは)エビデンスに基づくものが欠けているということで、(財務省が)調査せざるを得なかったという分野があった。この調査自体は大変高く評価していますし、極めて中立的な調査だと思っています」と述べた。増田によれば、委員からは次のような意見が出た。

「診療所の極めて高い利益率を踏まえれば、診療所の報酬単価を大きく下げ、マイナス改定とすべきだ。その際に病院については、勤務医の働き方改革や、現場の従事者の処遇をしっかり行うなど、メリハリをつけることが重要である」

ADVERTISEMENT

「診療所の報酬単価が高いことが診療所の必要以上の開設を促し、病院における医師不足、医師偏在の加速につながる構造となっている。地域別単価の設定を含め、診療所の報酬単価の見直しが必要である」