夏と言えば、甲子園の夏。楽天イーグルスの夏。つまり野球の夏。

 プロ野球2018シーズン、楽天イーグルスは後半戦に入って少しずつ借金を返済。虎視眈々と上位を狙う8月。若手選手の台頭も目立っている。今回は昨年、一昨年の夏に甲子園を沸かせた19歳の2人にスポットを当てたいと思う。

ルーキー・西巻の仙台育英高校時代の思い出

プロ初タイムリーを放った西巻賢二選手 ©RakutenEagles

 8月8日、札幌ドームで初先発出場し、見事にプロ初ヒットを放ったのはルーキーの西巻賢二選手。ファームでは5本の本塁打をマークし、試合に出場し続けて満を持しての1軍昇格だった。ハツラツとプレーする高卒ルーキー野手の西巻選手に聞かせてもらった。

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河内「プロ初ヒット、初打点、率直な感想を聞かせてください」

西巻選手「ファームでずっと試合に出していただいて、2軍と1軍の違いはありますけど、真っ直ぐや変化球などプロのピッチャーのボールを見ることで経験を積んで、試合を重ねる毎に成長できた結果だと感じました」

 西巻選手は仙台育英高校時代、1年生の時からベンチ入りし、2学年上の佐藤世那選手(オリックス)、平沢大河選手(千葉ロッテ)とともに第97回全国高等学校野球選手権大会で準優勝。途中出場ながらも1年生で全試合に出場し、決勝戦(東海大相模高校)でも小笠原慎之介選手(中日)からヒットを放った。

 そして、昨年夏は主将として甲子園出場を果たすも、準々決勝で中村奨成選手(広島東洋)擁する広陵高校に敗れて涙をのんだ。

 仙台育英高校は、今年の夏も甲子園出場を勝ち取った。共に汗を流した後輩達に西巻選手は「後輩が頑張っていると僕も勇気づけられるので、甲子園で活躍して僕を勇気づけてほしい」と語っていたが、残念ながら大会8日目の第2試合で強豪・浦和学院高校に敗れた。

 西巻選手に甲子園での思い出について聞いてみた。

河内「甲子園での記憶で蘇ってくるのはどんなシーンですか?」

西巻選手「去年の大阪桐蔭戦(逆転サヨナラ勝ち)が一番記憶に残っています。甲子園は何が起きるか分からないというのを実感しました」

河内「西巻選手にとって甲子園とはズバリ?」

西巻選手「それはもう『特別』の二文字です! あれだけの観衆の中で、フライが上がっても歓声が上がりますし、高校生が甲子園でプレーできるというのは、ほんのわずかな人だけなので『特別』の言葉しか出てきません」

好きな魚は「ほっけ」の西巻選手 ©河内一朗

河内「この先、どんな選手になって活躍していきたいですか?」

西巻選手「高校生の時からショートとピッチャーをやっていたので、高校時代の今宮選手(大分・明豊高校ー福岡ソフトバンク)を見て、僕もそんな選手になりたいと思っていました。肩の強さ、守備範囲の広さ、打つ方では勝負強さを持ち合わせ、さらにチームのためのバントやエンドランも決め、時にはホームランも打つ、そんな選手に僕はなりたいです」

 目を逸らさずに力強く語ってくれた19歳ルーキー・西巻選手。仙台育英高校時代に14回も甲子園へと導いた名将・佐々木順一朗氏から学んだ中で「上手くいかない時こそ難しく考えるのではなくて、実に面白いと思え」という言葉が一番心に響いていると教えてくれた。

 東北・福島出身の西巻選手は、この先どんな試練にぶつかっても野球を楽しむ事を忘れず、これからの楽天イーグルスを引っ張ってくれるに違いない。