「執拗に25分くらい、一部始終を撮影しました。愛撫から始まって…」

『Red』の三島有紀子監督は前作『ビブリア古書堂の事件手帖』(18年)に出演した夏帆に、「主役として撮りたい。この作品なら新しい夏帆さんの一面を表現できるはず」と再びオファーを送り、このコンビが再結成された。

「スポーツ報知」(報知新聞社)のインタビューで三島監督は、夏帆の「目」の魅力をこう語った。

「夏帆さんは目が大きくて、美しい球体をしている。生気がなくなったら、何を見ているのか分からない神秘性を感じさせる。感情を持ち始めると、全てを見透かしているように力が宿る。夏帆さんの目の変化を捉えて、(役柄の)塔子の思いを表現していこうと思った」

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 そして驚くべきことにベッドシーンはふたりの熱演をしっかりとカメラに収めようとノーカットの長回し、一発撮りで撮影したという。

「執拗に25分くらい、一部始終を撮影しました。愛撫から始まって、彼女が満たされた、ほほ笑みをするまで、途中で止めたら、その変化を捉えられないので、カメラを回し続けました」

 まさに夏帆と妻夫木の演技・表現力のなせる業だろう。

「じゃあ、あんたが作ってみろよ」公式Xより

 プライベートでは、24歳のときに俳優・新井浩文との熱愛がスクープされた。新井は「犯罪者演らせたら日本一、クズ男演らせたら日本一」と自任しており、やはり清純派とはかなり路線が異なる。だが2019年に新井が自宅マンションで派遣型マッサージ店の30代女性従業員に対する強制性交容疑で逮捕された時、前年末に夏帆とは破局していたことがわかり、夏帆の危機察知能力が発揮されたと話題になった。

 新井と破局後は渡辺大知との熱愛報道が出るなど、恋多き女優と言っていいだろう。

 筆者は夏帆が子役だった映画『小さき勇者たち~ガメラ~』(06年)と20代半ばになった『ピンクとグレー』の撮影現場で本人を取材したことがある。

『ガメラ』では病気がちで入院中の美少女役だったが、色白さと見事な演技力から来る「病気の少女」感があまりにリアルで、隣りにいたプロデューサーに「あの子、本当に病気じゃありませんよね?」と聞き、苦笑された記憶がある。

 14歳の時点でかなり完成されていた夏帆 ©時事通信社

 一方、『ピンクとグレー』ではすでに名女優の風格を漂わせ、“芸能界に染まった”役どころでもあったが、撮影の合間には共演の菅田将暉らと今ハマっているゲームや漫画の話題に花を咲かせており、天真爛漫さとのギャップに驚いた。

「自分には向いていない」とSNSでの発信をせず、キャリアの長さからどこか落ち着いた雰囲気さえあるが、夏帆はまだ34歳。ここからどう化けるのか、目が離せない。

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