「オレが仕事をしているのに、お前は遊んでいるのか!」
自宅に友人を呼んで、子どもと一緒に遊んでいると、「オレが仕事をしているのに、お前は遊んでいるのか!」と言って、殴る蹴るの暴力を振るった。その暴力は子どもにも及び、由貴が止めようとすると、ベランダから突き落とそうとしたり、失神するまで首を絞めるなど、「命の危険」を感じさせるほどだった。
そのストレスから由貴は流産し、2度目の結婚もわずか半年で離婚となった。
そんな傷心の由貴を慰めていたのが、出会い系サイトで知り合った細田雅人だった。細田はジゴロのような男だった。「由貴は悪くない」「一緒に考えよう」などとマメに気遣ったかと思えば、肉体関係を持っても、「オレは借金があるから、由貴を現実生活で満足させられない⋯…」と突き放すなど、由貴の恋愛感情を巧みに揺さぶり、1年がかりで由貴を自分に引きつけた。
「借金なんか2人で返せば、いつかなくなるじゃない。ずっと私のそばにいてよ!」
自分の借金1000万円を由貴に肩代わりしてもらう約束で、細田は由貴との同棲生活に入った。「病気で働けない」という細田に代わって、由貴はデリヘル勤務を始め、一家の大黒柱となった。細田の借金の返済額は月20万円。残りが生活費だった。
だが、細田はしつけの名目で子どもたちに暴力を振るうようになった。特に長男に対する暴力がひどかった。それでも由貴は一緒にいたいがために見て見ぬふりをしていた。
ついに小学校から「同居男性が長男を虐待している」という連絡が由貴の親元に入った。とりあえず、長男が児童福祉施設に保護されることになり、実家の両親は「そんな男とは別れろ!」と説得したが、由貴は聞く耳を持たなかった。
ついに事件が⋯
長女だけは自宅に残ったが、いつも放ったらかしで、「放置子」として有名だった。
「女の子はいつも1人でした。家の中に入れなくて、ランドセルをしょって家の前の駐車場にちょこんと座っていた。『お母さんが来るまでおり』と声をかけても、付いてこない。何一つしゃべろうとしませんでした」(近隣の人)
由貴の両親は何度も話し合いをしようとアパートに訪ねて行ったが、玄関も開けず、電話にも出ない。ホトホト困り果て、長女の身の上だけを案じていた。そして、取り返しがつかないような事件が起きたのである。
1年前の春、由貴はデリヘルの客に呼ばれて、ラブホテルに入った。そこには体格のいい30代の男がいた。プレイするうちに「本番をやらせろ」と迫られ、由貴がやんわりと断ると、男は顔面を殴りつけて怒鳴ってきた。
