26年後の逮捕劇から12月31日で2カ月。2025年、日本国中に大きな衝撃を与えた“未解決事件”の容疑者逮捕の報せ。改めて妻を亡くした高羽悟さんや家族に話を聞いていくと……。

胸の下にはすごい血だまりが…

 事件が起きたのは1999年11月13日の昼頃。名古屋市西区()(のう)(ちよう)のアパートに住む主婦・高羽奈美子さん(当時32)が、何者かによって殺害されたのだ。奈美子さんの夫・悟さん(69)が忌まわしき記憶を回想する。

幸せそうな悟さん奈美子さん夫婦 (写真は悟さん提供)

「職場から急いで自宅に戻って玄関を開けると、廊下に点々と血がついていましてね。奈美子はうつ伏せで倒れていて、胸の下にはすごい血だまりがありました。鑑識の人を呼び止めると『首を切られています』と。それを聞いて、初めて“これは殺人事件なんだ”と気が付いたのです」

「オムツの尿の量から殺害された時刻を検証」

 当時を知る元刑事が捜査の一端を明かす。

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「殺された奈美子さんは、犯人が家を訪ねてきた際、簡単に扉を開けていました。そのため、当時は奈美子さんの知人ばかりを重点的に捜査しており、なかなか有力な情報に辿り着かなかった。事件発生直後の捜査のことで強く記憶に残っているのは、部屋に残された2歳の息子さん。警察は穿いていたオムツに溜まった尿の量を計測したんです。同い年の子どもを持つ職員にも協力してもらい、奈美子さんが殺害された時刻を検証しました」

奈美子さんが扉を開けたという状況から、その知人が重点的な捜査対象に ©文藝春秋

 犯人は奈美子さんともみ合った際に手を怪我したと見られ、血痕も残していた。だが、こうした緻密な捜査は実らず、ただただ時間だけが過ぎていった。

《この続きでは、安福の手の怪我や空白の26年間にまつわる重要人物たちの証言、安福と生活をともにしていた夫との一問一答など総力取材の結果を報じている。記事の全文は現在配信中の「週刊文春 電子版」および12月25日(木)発売の「週刊文春」で読むことができる》

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