12月26日、林芳正総務大臣は閣議後の記者会見で、2024年の衆院選において自身の陣営で実態のない「労務費」支出が13人分(計13万円)あったと発表した。本人は以下の通り、謝罪した。
「この度、私設秘書が適切とは言えない経理処理を行い、関係者の皆様にご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます」
25日には選挙運動費用収支報告書の13人への支払い記載削除の訂正を行っていた。一体、実態のない「労務費」支出とはどのようなものだったのか。11月12日に配信した「週刊文春」公選法違反疑惑第2弾記事を再配信する。
昨秋の衆院選をめぐり、山口3区で当選した林芳正総務大臣(64)に公職選挙法違反(運動員買収)などの疑いが浮上している問題。「週刊文春」がさらに取材を続けると、この事案には林氏の陣営中枢や秘書らが絡み、組織的関与が疑われることが分かった。
「指示があって、お金が来るから、それでやってるだけ」
この疑惑は、林氏が昨秋の衆院選で「労務費」を計269人に計316万円支出した一方で、「ポスター維持管理費」等の名目と実態とが異なっているものだ。
金銭を受け取った人たちの証言によると、実際には「選挙カーから手を振った」「遊説で頭を下げた」などの選挙運動をしていた疑いがある。選挙運動は無報酬が原則で、「労務費」として認められるポスター貼りなどの作業以外の選挙の手伝いをして報酬を受け取っていれば、公選法で禁止されている「運動員買収」にあたる。
今回、「週刊文春」は事案の組織性を検証するため、現役地方議員や自民党の支部長ら、林氏の選挙で各地域のリーダー役を務めた人々に接触した。
現役の山口県下関市議はこう語る。
「俺が指示したわけではない。指示があって、お金が来るから、それでやってるだけだ。違法と言うなら改める」
また、山口県萩市の自民党支部幹部は言う。
「林事務所にいる秘書さんが、『今年はこのくらいで』とまとまったお金を支部に持ってくるんです」
事務所は「公職選挙法上問題のない支出」
林氏の事務所に質問すると、主に次のように回答した。
「選対に確認したところ、公営掲示板に選挙運動用ポスターを貼付したり、毀損した場合の貼り替えなど機械的労務であり、そのことを選対事務局から事前に説明した上で労賃をお支払いしている認識であり、公職選挙法上問題のない支出であると認識しています」
◇
だが、取材では他にも「問題のない支出」とは言い難い重要証言が続々と飛び出している。林氏陣営の「指示」、そして秘書が絡む金銭や領収書のやり取りの実態とはどのようなものか。11月12日(水)12時配信の「週刊文春 電子版」および13日(木)発売の「週刊文春」では、林氏への追及スクープ第2弾として詳報している。
文藝春秋が提供する有料記事は「週刊文春電子版」「Yahoo!ニュース」「LINE NEWS」でお読みいただけます。
※アカウントの登録や購入についてのご質問は、各サイトのお問い合わせ窓口にご連絡ください。



