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大阪の作家・津村記久子が語る「『探偵!ナイトスクープ』の七並べの回のような小説を書きたい」

テレビっ子作家・津村記久子インタビュー #3

友達と期待しているのは「和牛」と「ミキ」

―― 感想戦みたいな感じで。

津村 そうそう。年末の漫才番組も録画して、「中川家と銀シャリとメッセンジャーって、すごい私たちの大好物が並んでる!」みたいな感じで。その部分だけをDVDに録画していってちょっと見てもらうみたいなね。そういう話をせずにはおれんです。高校の時からの友達なんですけど、そういう話をするのって楽しい。SNSとかで共有したいとか思わないんですけど。

 やっぱり『M-1』でとろサーモンが勝ったら感動しますしね。とろサーモン、周りの人らもずーっと前から観てて、久保田さんが「クズ」みたいなキャラで浸透してるから、みんなが様式美みたいに「よかったなあ、村田(※原文ママなんで敬称略ですみません)」ってまず言うとか、そういう約束事がすごいおもしろいですね。

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―― あはは。

津村 もちろんその後に久保田さんも祝いますよ。さすがにやっぱりみんな大阪の人は『M-1』の結果とかにものすごく興味がある。東京の人と喋って、意外とそうでもなかったりするとちょっと驚きますね。

―― 最近好きな芸人とかっていますか。

津村 あんまり追えてなくて、友達とすごい期待して観てるのは和牛とミキですかねえ。すでに決勝まで勝ち上がってる人たちですけどね。

長年つるむおじさんが羨ましい

―― 『ディス・イズ・ザ・デイ』にも『探偵!ナイトスクープ』出てきましたけど大阪のローカル番組ってどんなのを観てますか。

津村 『ちちんぷいぷい』(平日午後の情報番組)をとびとびで観てますよ。MBSの。

―― 司会のアナウンサーの方がすごい大阪では人気だそうですね。

津村 角(淳一)さんはもうちょっと出てないんですけど。今は5人ぐらいで司会をまわしてはります。西(靖)さんとかヤマヒロ(山本浩之)さんとか。ヅラを告白しはった人ね。

―― あぁ。

津村 『ちちんぷいぷい』は目の付け所がすごく優れてると思います。「昨夜のシンデレラ」って、盛り場の道歩いてるおじさんに声かけて、「どういう集団です?」みたいなことを聞くコーナーとか、すごい楽しいです。

―― それお昼にやってるんですか(笑)。

津村 昼です。たとえば、梅田の東通りにいたお二人に「どういう関係で?」と聞いたら、「20年前に会社で仕事してた」みたいな感じで。おじさん同士は何十年前に仕事したとかでも結構長いことつるむなって思ったんです。すごい羨ましくって。

 サッカーのスタジアムでもおじさん同士ってすごいおもしろいんですよ。縦に並んで「肉まんいる?」って、食べ物を分け合おうとしたり、「また来年ね」って固い握手を交わしてたり。そういうのが「昨夜のシンデレラ」には端的に映ってる。おじさん同士は意外とすぐに仲良くなるっていう。「中高年男性の孤独」とかいうけど、人と仲良くなるのがうまいおじさんもいるのかなと思いますね。

―― 『ちちんぷいぷい』ってワイドショーかと思ったら、そういうコーナーもやったりするんですね。

津村 コーナーが結構充実してて、あんまりワイドショー的な役割は求めてないですね。