BBCが制作したジャニー喜多川氏の性加害問題に関するドキュメンタリーは、日本社会に大きな波紋を広げた。

 しかし、制作に関わった当事者たちでさえ「ここまでの反響があるとは思っていなかったのでは」と振り返る。日本人初のBBCキャスター・大井真理子氏が、この報道の舞台裏と日英メディアの構造的違いを語った。(全2回の1回目/続きを読む

【BBCキャスターが語る「ジャニーズ性加害問題」】ロイター、ブルームバーグ、BBC…世界メディアで働くこと|三児を育てながらの勤務|ジャニーズ問題をなぜ報じることができたか【大井真理子】

(初出:「文藝春秋PLUS」2026年1月6日配信)

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「なぜ日本社会は何もしなかったのか」

 大井氏は番組制作当時を振り返り、制作陣でさえここまでの反響は予想していなかったのではないか、と明かした。番組で報じられた内容は日本の視聴者にとって全く新しい情報ではなく、これまでにも報道され、噂にもなっていたため、「『そうだったんだ、知らなかった』という情報は多分なかったのではないか」と語る。

大井真理子氏

 では、なぜBBCの報道が大きな社会的インパクトを与えたのか。大井氏は、問題を一つの番組にまとめ、ジャニーズ事務所に直接コメントを求める記者の姿を含めた「BBCらしいやり方」が影響したと指摘する。さらに、イギリス人記者の視点から「なぜ日本社会はこんなにみんな知ってるのに何もしなかったのか」と問いかけたことが、大きな反響を呼んだと分析した。