昨年5月に京都で第1回が開催された世界規模の音楽賞「MUSIC AWARDS JAPAN (MAJ)2025」は大きな話題となったが、その主催者である音楽業界団体「CEIPA(一般社団法人カルチャー アンド エンタテインメント産業振興会)」が設立された経緯について、ライターの高橋大介氏が、複数の大物業界関係者へのインタビューを敢行。「文藝春秋」3月号で明らかにしている。

「つるとんたん」の個室に音楽業界主要5団体のトップが勢揃い

「あんなに仲が悪かった5団体が垣根を越えて……」

 文化庁長官で作曲家の都倉俊一氏は「MAJ」の打ち上げの席でこう口にし、関係者を苦笑させたというが、これまで日本の音楽業界は長らく世界の音楽シーンから隔絶し、閉塞したムラ社会と化していた。

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取材に応じた都倉俊一文化庁長官 ©文藝春秋

 事の起こりはCEIPA設立の約1年前に遡る。東京・六本木のうどん店「つるとんたん」の個室に音楽業界主要5団体のトップが勢揃いした。集まったのは、日本レコード協会会長、日本音楽事業者協会(音事協)会長、日本音楽制作者連盟(音制連)理事長、コンサートプロモーターズ協会(ACPC)会長、日本音楽出版社協会(MPA)会長の5人。

 権利関係をめぐって利害がぶつかることも少なくないが、5団体のトップには共通する危機意識があった。MPA会長の稲葉豊氏は、高橋氏の取材にこう明かした。

「アーティストサイドはYOASOBIや藤井風、新しい学校のリーダーズなど軽々と国境を越えて活動し、実績を上げ始めている一方で、我々ビジネスサイドが国内でおっとりしているのはどうなのか、という危機感が高まっている頃でした。ちょうどそのタイミングで都倉さんからの投げかけをいただき、業界として腰を据えて動かなければならないという認識が一気に共有されたのです」

稲葉豊氏
MAJのレッドカーペットに登場した藤井風氏 ©共同通信社

 日本を尻目に韓国の音楽界は世界に打って出て、大成功を収めた。韓国発の音楽部門の海外輸出額は、2016年の4億4000万ドルから2022年の9億6000万ドルへと倍増。その現状を憂えていたのが、文化庁長官の都倉氏だった。