交際相手に撮影された性的動画がネット上に無断投稿された21歳女性のA子さん。動画の流出を知らせてきた男2人に、「動画を保存しておいた」と言われて自宅に連れ込まれ、わいせつ行為を受けた事件で、名古屋地裁は2026年3月4日、2人の被告にそれぞれ懲役4年6カ月の判決を言い渡した。

「自慰行為に使うから」と懇願され根負け

 A子さんは2023年11月、マッチングアプリで株のデイトレーダーをしていた林諒憲被告(当時23)と知り合い、交際を始めた。名古屋市中区のワンルームマンションに住む林被告は羽振りが良く、A子さんとは肉体関係も持った。

事件当時に林諒憲被告が住んでいた自宅マンション(名古屋市中区)

 交際から2カ月ほど経った頃、林被告は「自慰行為に使うから、性行為の動画を撮らせてほしい。これは他人に見せないし、絶対に流出させないから」と頼み始めた。A子さんは最初は渋っていたが、2カ月近くも頼まれ続けて根負けし、ついに同意してしまう。

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 2024年3月9日、林被告は慣れた様子で複数のカメラ機材を使い、様々な角度から性行為の様子を5時間にわたって撮影した。しかし林被告は約束を破り、A子さんが入浴中に身分証明書をコピーし、別の女性に偽の出演契約書を書かせて動画サイトに投稿。月100万~200万円の収益を得ていた。

 同年10月14日夜、A子さんのもとにマッチングアプリで知り合った長﨑翔磨被告(当時22)から連絡が入る。「A子ちゃんの動画が流出してるんだよ」。絶句したA子さんが詳細を聞こうとしたが、長﨑被告は「会ってから話す」の一点張りだった。

 不安に駆られたA子さんは、自宅近くのファミレス駐車場で長﨑被告と、その友人の大川健太被告(当時24)と待ち合わせることになる。「早く警察へ行きたい」と訴えるA子さんに対し、2人は「方向性がまとまってから警察へ行こう。林に証拠を消されてもいいように、オレたちが動画をダウンロードしておいたから大丈夫だよ」と言って、自宅マンションに連れ込んだ。

A子さんが連れ込まれた長﨑被告と大川被告が住んでいたマンション(愛知県春日井市)

 2人は笑いながらA子さんの動画を見て、「『いいね』がこんなに付いてるってことは稼ぎ頭だね」「これが全国のオジサンに見られているわけだ、ハハハハ……」などと言い放った。そして長﨑被告が「動画がエロ過ぎてヤリたくなっちゃったんだよ」とわいせつ行為を要求。A子さんが抵抗すると「オレの父親はヤクザだ」と脅迫し、大川被告も「そうだよ。こいつのオヤジは組長で、マジで怖いよ」と同調した。

 A子さんは法廷で当時の心境をこう証言している。

「この2人に逆らったら、最悪殺されるかもしれないと思いました。2人に恨みを買ったら、私の性的動画をどこかに流してしまうんじゃないかという不安もありました」

 2人は結局、A子さんに手でわいせつ行為をさせ、長﨑被告は顔や髪に精液をかけるなどの卑劣な行為に及んだ。事件後、心身ともに傷ついたA子さんは、まず林被告による動画流出の件を解決するため、父親に付き添われて弁護士に相談。その際、長﨑、大川両被告とのやりとりを話したところ、父親と弁護士が「あの2人は怪しくないか。林とグルなんじゃないか」と指摘した。これを受け、A子さんは2人からの被害についても警察に届け出る決心をした。

 林被告は2025年8月、名古屋地裁で懲役2年10カ月と罰金150万円の判決を受けた。長﨑被告と大川被告は「無理やりではない。A子さんは嫌がっていなかった」と主張したが、吉田智宏裁判長は「被告人両名の供述内容は到底信用できない」と断じ、それぞれ懲役4年6カ月を言い渡した。

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