映画好きの著名人がミニシアターで出会った「忘れられない一本」を語る人気コーナー。俳優・室井滋さんが明かす「思い出の映画」とは?
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早稲田生の憩いの場だった和風シアター
早稲田の貧乏学生だった頃、私はミニシアター通いが常でした。特にオールナイト上映は、ドッサリ映画を観たい私達若者にとってはお正月の福袋みたいに価値がありました。だって、ひと晩で5本も観ちゃうのですもの。中でも早稲田ACTミニ・シアター(現在は閉館)は週末の憩いの場所で、溝口や小津、黒澤や今井といった日本映画の巨匠の作品から、ゴダール、トリュフォー、ペキンパーなどの洋画史に残る傑作に胸を躍らせました。しかもそこは畳敷きの和風シアターで、皆が座椅子にもたれて鑑賞するスタイル。つまり真夜中にはどうしても寝転がってウトウトしてしまうことがしょっちゅうでしたっけ。
私の大失敗はカトリーヌ・ドヌーヴ主演の『シェルブールの雨傘』! ミシェル・ルグランが音楽を担当したミュージカル映画なのに、唄声が美しく子守歌みたいで、どうしても途中で爆睡してしまう。ただし、ラストの別離場面ばかりはしかと見届け、号泣してしまったのでありました。
むろい・しげる 富山県出身。早稲田大学在学中に映画デビュー以来、多くの映画賞や芸能賞を受賞。近著にエッセイ集『やっぱり猫 それでも猫』(中央公論新社)、『ゆうべのヒミツ』(小学館)、絵本『タケシのせかい』(アリス館)ほか。全国各地でしげちゃん一座絵本ライブを開催中。2023年4月より富山県立高志の国文学館館長に就任。
『シェルブールの雨傘』
1963年フランス・ドイツ/監督:ジャック・ドゥミ/出演:カトリーヌ・ドヌーヴほか
フランス北西部の港町シェルブール。自動車修理工の青年ギイと傘屋の娘ジュヌビエーヴは結婚を誓い合った恋人同士だったが、ある日、ギイに送られてきたアルジェリア戦争の徴兵令状が2人の人生を大きく翻弄する──。
Blu-ray&特典DVD発売中 5,170円(税込)
発売・販売元:株式会社ハピネット・メディアマーケティング


