2022年11月、知人男性から密室に誘導され、強制性交被害を受けたさやかさん(仮名)。その際の暴行によって傷害を負った彼女をさらに追い詰めたのは、法の番人であるはずの検察官から投げつけられた言葉だった。
「指を入れられただけ。口に入れられただけ」 「金銭目的ではないか」――。
性犯罪被害に対する検察の不適切な対応や二次加害をめぐり、被害者本人と弁護士らが2026年5月29日、記者会見を行った。さやかさん側は、主任検事による暴言などの違法な事件処理、およびそれを組織として是正しなかった検察の体制を不服として、国を相手取った国家賠償請求訴訟を東京地裁に提訴している。
「こんな世界は危険」自宅から出られなくなった
主任検事はさやかさんに対し、侮辱的な暴言を吐き、証拠を精査しないまま根拠のない予断を持って不起訴処分にしたという。事件を巡り、さやかさんのPTSDは悪化。ついには自宅から出ることも困難になり、社会的孤立を深めていくこととなる。
不適切な取り調べに対し、代理人弁護士が最高検や東京地検へ詳細を報告し、対応を申し入れたが、検察側は「調査開始」を決定しながらも適切な調査を行わず、主任検事の交代もないまま不起訴処分を下した。こうした対応の背景には、検察官の知見不足や性犯罪被害の軽視が多発している現状があり、今回の件は「氷山の一角に過ぎない」と弁護士らは指摘する。
会見では、教育や苦情対応を含めた組織統制が全く効いていない検察の「ガバナンス欠如」が、極めて重大な組織的問題として糾弾された。こうした人権軽視の体質を根本から改め、これ以上の被害者を生まないために、外部専門家による客観的な検証を行う「第三者委員会」の設置が強く訴えられている。
彼女は、「同意なんかしていない」
国賠提訴に踏み切ったさやかさんが直面した事件、そしてその後の警察段階での情報漏洩や、ネット上の「ハニートラップ」といった事実無根の誹謗中傷にいたるまでの過酷な過程は、マンガ家・菊池真理子氏の著書『同意なんかしていない ―性被害者たちに何が起きたのか―』(文藝春秋)の題材にもなっている。
ニュースだけでは伝わらない性被害者の痛切な現実。その実態を伝えるため、さやかさんの被害を描いた同作の第3話と第4話を、期間限定で特別に公開する。

