「ぼくの映画は“骨っぽい”んです」
これまで手掛けたギミックコメディは、その面白さと展開を理詰めで追求してきた印象がある。だからこそ上田作品らしい妙味が生まれるのだが、今作にはそれに加えて“青春”を肯定し後押しする空気が濃厚に漂う。
「作り手として、若い人へのエールを込めているんですけど、どちらかと言えばそれは後づけの話。でも今回は下北沢という街を描くにあたって、キャストも自然と若くなりました。『ドロステ~』なんかは特にそうなんですけど、ぼくの映画は“構造”が強い。エモーショナルな要素も入れたつもりだけど、結果的には“骨っぽい”映画になるんです。自分が思ってるよりもっとビショビショにして、感情をしとどに濡らすくらいで構造とのバランスがとれるんだなと思った。そういったことをいろいろ試してみました」
今作を撮り終え、去来した感情は嬉しさだったという。
「舞台は上演のたびに変化するから、実は完成という瞬間がない。でも映画は完成して、ずっと残る。だから嬉しかったんです。今後もギミックや企みに満ちた映画を作りたい。舞台となるロケーションと4カ月があれば撮りますよ(笑)」
うえだ・まこと 1979年、京都府生まれ。劇団ヨーロッパ企画の代表を務め、すべての公演で脚本・演出を担当。外部の舞台や、映画・アニメ・テレビドラマの脚本も⼿掛ける。2017年には『来てけつかるべき新世界』で第61回岸⽥國⼠戯曲賞受賞。舞台と映画ではタイムリープをテーマとする作品を数多く手掛ける。今年秋以降には脚本を担当した映画『⾼校⽣家族』が公開の予定。
INTRODUCTION
⼈気劇団・ヨーロッパ企画代表にして、映画では『サマータイムマシン・ブルース』(05年)、『ドロステのはてで僕ら』(20年)、『リバー、流れないでよ』(23年)などで脚本を務めてきた上⽥誠の監督デビュー作品。ダブル主演のひとりは劇作家のマドカを演じる伊藤万理華。⼀⽅、バンドマンのカズマを演じるのは井之脇海。さらに前⽥旺志郎、菊池⽇菜⼦なども加わり、下北沢の映画館「トリウッド」を舞台に、上田監督が得意とするギミックコメディが展開される。
STORY
東京・下北沢で劇作家をしているマドカと、隣町・三軒茶屋でバンドをしているカズマ。それぞれの活動で人間関係に悩みを抱えるふたりが下北沢のトリウッドで別々に映画を観ていると、なぜかスクリーンの中に互いを観ることなり、会話までもが成立。つまり、マドカにとってはカズマが、カズマにとってはマドカが「映画」として現れる。そんなあり得ない構造のなか、まるで映画のように、互いの物語=現実のなかで事件が起きていく。カズマとマドカはスクリーンごしに会話しつつ、解決に奔⾛する……。
STAFF & CAST
監督・脚本:上田誠/出演:伊藤万理華、井之脇海、藤⾕理⼦、⾦丸慎太郎、前⽥旺志郎、菊池⽇菜⼦、⾦⼦鈴幸、三河悠冴、今井隆⽂/2026年/日本/68分/配給:TOHO NEXT、トリウッド/©ヨーロッパ企画/トリウッド 2026
