ブラインドタッチが自由自在にできるようになると、
「乏しい文筆業の収入が、もしこの先、もっと減ったら筆記者をして食いつなごう」
と、保険に入ったような気になり、こつこつと小説を書いてゆき、現在に至る。
ものすごく速く打てるということは、どういうことかというと、日本語で何かを考えると、日本語の持つ、日本語だけのニュアンスを保ったまま、そのまますぐに文字化される、ということである。
日本語を書くのに最適なので、私は「親指シフト」を使い続けている(ワープロ専用機は販売中止とともに使わなくなったものの)。
「親指シフト」というのは、たんにキーボードである
「親指シフト」というものを、黒電話か足踏みミシンかのように、なにやら妙な誤解をしている人がいるようだが、認識を新たにしていただきたい!
「親指シフト」というのは、たんにキーボードである。
現在、多くの人が一般的に使っているPCに、このキーボードを接続すれば、使えるものである。
値段だって何百万も何十万もするものではない。正規製品で1万5千円くらいで、今でもちゃんと売られている。
現役の製品である!
親指シフト仕様のノートパソコンだって売られている。
メールの返信をスマホにした理由
さて、こんな具合であるから、私は最近、メールにはスマートホン(スマホ)を使うことにした。
なぜか。
スマホだとローマ字入力だからである。
PCだと親指シフトのため、メールの返信がアッというまに長文になってしまうし、心がこもってしまうからだ。
世の大半の人にとっては、短くて心のこもらない文面のほうが受け取りやすかろう。私のほうも、メール連絡に心をこめていると本業のはかどりが遅くなる。
そういうわけで、メールはローマ字入力ですることにしたのだった。
「親指シフト」は私にとって、心を救い、そして掬って、伝えてくれる道具である。
この道具が、現在では、広く知られていないのは、日本語の危機とさえ思う。