撮影を中断し鏡は近隣の病院へ

 すぐに撮影は中断。鏡は近隣の病院に向かうことになった。冒頭のホテルの宿泊客は、ちょうどその時の彼女を見たのだ。

「病院で鏡選手は下唇を縫いました。東京に戻って再度病院に行き、全治2週間と診断されました。現場では、鏡選手抜きで撮影は再開。結果、鏡選手は1競技目で姿が消えるということになってしまった」(同前)

競技は思いのほか危険だった(番組より)

 帰京後、鏡は通常通り、トレーニングを再開する。流石はアスリートだが……。

ADVERTISEMENT

「怪我から数日後に行われた全日本合宿には、まだ下唇の傷にテープを貼ったまま参加していました」(前出・レスリング関係者)

現場でプロデューサーが鏡に謝罪も公式発表はなく「鏡選手これで出番終わり?」

 TBSは現場でプロデューサーが鏡に謝罪し、後日、マネジメント担当者も交えてお詫びをしたという。ただ、出演者に怪我をさせたことについての発表はないまま、放送がなされた。

 TBS広報室に質問状を送ると、事実関係を認めた上で、安全性の面について、概ね次のように回答した。

「収録前すべてのアトラクションについて、スタッフによりリハーサルを行うなど十分な準備を行っていましたが、結果的に不慮のアクシデントが発生したものと認識しております。一方で、番組収録時のご出演者の安全対策につきましては、万全を期すよう更なる対策を講じてまいります」

 TBSは放送することを事前に鏡側に提案して快諾を得たという。鏡側も内容を確認したと答えた。ただ、視聴者にとって不自然な放送となったことは否めず、SNS上では「鏡選手これで出番終わり?」などの投稿も複数見られた。

 元MBSプロデューサーで、同志社女子大学学芸学部メディア創造学科の影山貴彦教授はこう述べる。

「ボートが直角になるまで撮影を続け、出演者を負傷させた局の責任は大きい。安全より制作側の『撮れ高』を重視した結果と言えます。双方で穏便に解決したとは言え、TBSは事案を発表すべきでした。隠せるものは隠して放送したかったという意図が透けて見えます。今後、より強固な安全対策、そして問題を隠さず公表することが必要でしょう」

 局側には、出演者はもちろん、視聴者へも真摯に向き合うことが求められる。

次のページ 写真ページはこちら