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月10万円の「コーチ料」で大揉め

「金銭トラブルというか、コーチ料を取っていたケースがあったんです。いつも付きっきりでやっているなと思ってたんですが、あとで聞いたら月に10万円を払わせていた。まぁ、お金が発生しても当人同士がよければいいんですけど、結局、そういう人は適当なので、その場で違う人にも教えたりする。すると、私はお金を払っているのに、あの人はタダ、みたいな話になってこじれてしまったんです」

 それでもボウリング場としては「出禁」などの措置が取りづらいという。

「結局は個人間のトラブルというか、ボウリング場側に直接迷惑をかけているものではないので介入できないんですよ。お客さまに対しては基本的に公平に対応しているので、『この人を守りたいからあの人は出ていって』ということにはできないんです」

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©️iStock.com

 お金を払って上達すればまだいいが、そうなることは少ない。

「プロコーチの立場として言わせてもらえば、『教え魔』は百害あって一利なし。彼らはフィーリングで教えるので、理論がない。ただ、上達する場合もあります。ボウリングの初心者は、伸びしろがあるというか、投げれば投げるほど上手くなるものなんです。それで教え魔も『おれが言った通りだろ』となってエスカレートしていく。

 でもあるレベル以上は上達しないので、なんかおかしいなと気づき始めるわけです……」

「教え魔」はどこまでいっても自己満足でしかないのだが、本人は気づかない。

「教え魔が難しいのは、本人は親切なつもりなんです。人間の心理として自分の持っている情報を誰かに伝えたくなるというのはあると思います。自分も教わってきたから、教えるのが義務とまで思っている人もいます。ただ、その程度の情報はネットやYouTubeにいくらでもある。今どき、教え魔から教えてもらうことはありません」

 長年の経験で培ってきた技術や知識を分け与えたい。同じ趣味を持ち、同じ目的を持った仲間なら、それを受け入れてくれる、と信じてしまうのが「教え魔脳」なのだ。