“時代を作った人たち”の本音に迫る対談企画「有働由美子のマイフェアパーソン」。今回のゲストは、動物言語学者の鈴木俊貴さんです。

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「ヘビ嫌い」が多いわけ

 有働 鈴木先生の主な研究対象は鳥のシジュウカラ。この野鳥が言葉を話すことを世界で初めて突き止めた動物言語学者であり、現在は東京大学先端科学技術研究センター准教授です。2025年に出版してベストセラーとなった著書『僕には鳥の言葉がわかる』(小学館)は、いま何万部ですか?

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鈴木氏(左)からは有働さんに双眼鏡の使い方のアドバイスも Ⓒ文藝春秋

 鈴木 20万部を超えました。「書店員が選ぶノンフィクション大賞2025」にも選ばれて、すごく嬉しかったです。

 有働 実はこの本が発売されてすぐ、いろんな方から私の元に送られてきました。読んだら誰かに勧めたくなるからだと思います。

 鈴木 本当ですか。どうりで売れているわけだ(笑)。ありがたいです。

 有働 実際めちゃくちゃ面白かったです。鳥に興味がない人も、読むと近所を散歩する時でも五感が研ぎ澄まされるようになるので、今すぐ読んでほしい。話の流れにもワクワクして、先生の歩みを自分がたどったような読後感でした。

 今日は個人的に長年気になっている疑問からお聞きしたいのですが。

 鈴木 わかりました。

 有働 私は鹿児島の山奥で生まれ育ったにもかかわらず、虫と爬虫類がずっと苦手です。一方で、先生は小さい頃から虫などの生き物が好きだったそうですが、同じ子どもでもどうして差が生じるのでしょう?

 鈴木 ひょっとすると、生まれた段階で個性があるのかもしれません。鳥ではその研究が進んでいて、セキセイインコに新しいおもちゃをあげると、好奇心を持って飛びつくインコと、怖がってケージの端っこに逃げるインコがいるんです。遺伝的に違いがあることがわかっている。人間ではまだはっきりしていませんが、そうした生まれつきの違いが虫の好き嫌いにも関わっているのではないかと。

鈴木俊貴氏 Ⓒ文藝春秋

 有働 なんと! そうなのですか。

 鈴木 ただ、ヘビに関しては嫌いな人の方が圧倒的に多いだろうし、実は人間だけでなく、いろんな動物がそうです。サルもリスもヘビを嫌がる。これは、ヘビの中には毒ヘビがいるからです。噛まれれば死んでしまうから、ヘビに対して生まれつき特別な認識を持っている動物がたくさんいるんです。

 有働 生まれつき、恐れるべきものとして認識しているのですか?