(てらだかつや マンガ家、イラストレーター。1963年岡山県生まれ。イラスト、マンガ、ゲーム・映画・アニメのキャラクターデザインで活躍。近作は『仮面ライダーW』『ウィザードリィ』シリーズなど。近年は国内外で個展を開催。著書に、フルカラーマンガ『西遊奇伝 大猿王』、『絵を描いて生きていく方法?』など。)
肩書きはマンガ家ですよ。心はずっとマンガにあるんで。まあ、あまり数描いてないから、だんだん自称になってきてるけど(笑)。基本的にはイラストの仕事が多いです。でも個展とかの展示がメインになりつつある。10年くらい前からアメリカで年1回の個展がルーティンになってます。今年は台湾と香港にも呼んでもらったし、もちろん国内でも。グループ展も入れると年に5回くらい展示の機会があって、その都度、10から30点は新作を描かないといけない。おかげさまで、結構忙しくさせてもらってます。
国内外に多くのファンを持ち、その迫力と緻密さを兼ね備えた圧倒的画力から“当世一の絵師”とも称される寺田克也さん。「絵で生きていく!」と決めたのは中学生の頃。そして実際、これまで絵を描くことだけで生計を立ててきたという。主にSFやファンタジー世界の住人たちを描くことが多い寺田さんの、リアルな住まいと暮らしぶりをみていこう。
1963年、岡山県玉野市に生まれた寺田さんは、物心つく頃にはもう、“絵の上手な少年”だった。
故郷の玉野市は、瀬戸内海沿岸にある造船の町でした。三井造船の製作所があって、父を含め、町のほとんどの人がそこに勤めてました。タンカーの進水式ともなると、まるで祭りのような賑わいでね。瀬戸大橋ができるまでは四国へ渡るフェリーの港としても人の出入りの多い町だったんです。ところが今ではずいぶんさびれちゃって、高校通学に使ってたJR宇野線も、1時間に1本、車両も1両に……。いしいひさいち、一条ゆかりと二大マンガ家の出身地でもあるのですが、今はさみしい雰囲気で。また昔のように元気になってくれたらなといつも思ってますよ。
そんなわけで、オレが生まれたのは三井造船の社宅です。会社員の父と専業主婦の母、4歳上の姉と3歳上の兄と、5人で暮らしてました。で、オレが3歳の頃、父がその近所に2階建ての一軒家を新築して移り住みました。母いわく「お父さんは、何でもひとりで決めてねえ。この家もそう」だそうですが。今度は、母方の祖父母、父の妹、それから犬と猫も一緒でした。部屋は兄が高校の寮に入るまで、2人で使ってましたね。
絵は得意でもマンガは描けない!?メビウスとの出会いで世界が変わった
寺田さんの好物は、今も昔も“白い紙”。子どもの頃は、裏が印刷されていない広告チラシを見つけると大喜びで落書きに興じた。ガメラやニャロメを描くのが得意だったという。
覚えている限り、父や母から絵を教わった記憶はありません。ただ、絵を描くとまあまあ褒めてくれたし、描くのをやめろとも言われなかった。それで描き続けるからどんどん調子に乗って、褒められるから続けられた。
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source : 週刊文春 2024年11月21日号