10月7日(月)

 私の父の誕生日。朝食が済み、家族が出かける前に実家に電話。受話器を順ぐりに回して「おめでとー」とプラス一言ずつ会話をかわす。毎度それくらいのお祝いなのが申し訳ない、正月には顔を出せるだろうか。午前中、小学館で取材。今年から「自分の落語の持ちネタについて真面目に振り返る」という趣旨で語りだめしている。いつ書籍になるかわからないがとにかく真面目に喋る。神保町から大手町へ徒歩移動。読売新聞本社で、11月末にある「一之輔春秋三夜」についての取材。毎年恒例のネタおろし(初演)の会だ。まもなく私の不機嫌な季節がやってくる。読売、産経、夕刊フジの記者さんが集まってくれた。産経の方に「なんで産経は『虎に翼』嫌いなの!?」と聞いたら変な空気に……。夕刊フジ(来年1月で休刊)の方には「長年お疲れ様でした」と労った。これでトントンにしてください。渋谷ユーロスペースにて映画『どうすればよかったか?』試写会。藤野知明監督が統合失調症になった姉と、それを認めることなく治療せず自分たちで介護しようとする両親との生活を、20年に渡り記録したドキュメンタリー。「どうすればよいか」を決めるとき、寄り添ってくれる第三者が居て当事者にその意見を受け入れる心の余裕が少しでもあればよいのだが。観ながら自分の両親、姉達、妻子のことが頭をめぐる。誰にでも起こりうることだし、自分もその病になるかもしれないし(ポレポレ東中野ほかで12月7日から公開)。夜は上野鈴本と池袋演芸場のトリ。

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source : 週刊文春 2024年11月21日号