人生の3分の1を占める睡眠。60歳を過ぎると良質な睡眠を取れる人が減ってくるという。そこで定年後に心地よく寝るための運動、室温、寝具、食事まで、安眠の処方箋を徹底取材。健康寿命を延ばす睡眠の取り方とは。
60歳を過ぎると、「寝つきが悪くなった」、「いくら寝ても疲れが取れない」など、睡眠に関する悩みを持つ人が増えてゆく。
2024年に公表されたフジ医療器が行った「第11回 睡眠に関する調査」(約2400人対象)によれば、60代で睡眠に不満がある人の割合は92.8%だった。睡眠の質が下がると、不眠症やうつ病、高血圧や動脈硬化による心疾患など、様々な病気のリスクが高くなる。
そこで、60歳からよく眠るために重要なポイントを、医師などの専門家に取材、7つの法則にまとめた。
❶【認知症リスク】5時間未満で2.6倍
OECD(経済協力開発機構)によれば、日本人の平均睡眠時間は7時間22分。33カ国の中で睡眠時間が最も短い国とされる。久留米大学の内村直尚学長が指摘する。
「人の睡眠は年齢とともに浅く、短くなっていきます。中でも昼間の活動量が落ちると、夜の睡眠の質は低下します。高齢者が、朝起きたときに疲れが抜けていないと感じるようになるのはこのためです」
厚生労働省の「健康日本21」(第三次)によると、60歳以上で、睡眠時間が6~8時間の人の割合は、55.8%だが、内村学長によると、65歳の適切な睡眠時間の目安は、5~7時間だという。
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source : 週刊文春 2024年11月21日号