60歳を境に体の不調は増加する傾向にある。それと比例して服用する薬も増えていく。しかし、多剤服用は新たな疾患のリスクが高まるという。降圧剤、糖尿病薬、痛み止めなど身近な薬の減薬・休薬の基準を徹底取材した。
働き盛りの世代は、降圧剤や睡眠薬、胃薬などを服用してきた人も少なくない。60歳を越えて使う薬がさらに増えると、体に重大な影響を与えることがある。国際医療福祉大学三田病院薬剤部長で同大学成田薬学部の富田隆教授が語る。
「高齢になると、疾患ごとに別々の医療機関を受診する機会が増え、どうしても処方される薬の数が増加する傾向にあります。また、年を重ねると、内臓の機能が低下していきますので、若い頃は普通に使えていた薬でも、効きすぎて副作用につながることもあります。60歳は、それまで漫然と使ってきた薬を見直し、減薬や休薬を考えるよい機会と言えます」
危険なのは、自己判断で薬を止めてしまうことだ。
「薬を急に止めると、症状が抑えられなくなり、健康診断の数値が急激に悪化したり、激しい痛みや強い不安を伴う離脱症状を引き起こすことがあります。医療機関で処方されている薬の場合は、現在の症状を説明した上で、必ず『薬を減らしたい』と医師や薬剤師に率直に伝え、相談しながら少しずつ薬を減らしていくことが大切です」(同前)
そこで、60歳から薬を減らすために知っておくべき7つの法則を取材した。
❶6種以上はダメ。腎障害が1.82倍に
最初に注目したいのは、薬の数である。
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source : 週刊文春 2024年11月14日号