60歳を起点に新たなライフスタイルを模索する連続企画。第1回は、高齢者の心強い伴走者であるかかりつけ医の選び方だ。玉石混交の医療の世界。長く付き合うからこそ見極めたい重要ポイントをプロが徹底解説する。
人生100年時代のいま、60歳は、第二の人生のスタートラインだ。厚労省の「就労条件総合調査」(2022年)によると、一律で定年退職の時期を定めている企業のうち、72.3%が原則60歳を定年としている。年金も早期支給を選択すれば、60歳から受給が可能となる。
つまり、60歳になれば否応なく、生活環境が変化していく。だが、令和のシニアはまだまだ元気だ。「健康上の理由で日常生活が制限されない期間」を示す「健康寿命」は、男性は72.68歳、女性は75.38歳(いずれも2019年調査)。音楽や絵画、登山など新たな趣味を始めたり、旅行に行ったり、昔の友人と久しぶりに集まったりと、アクティブに過ごす時間は10年以上も残っている。
一方で、会社や組織を離れると、自分で判断する機会が増え、不安に思う人も少なくないだろう。そこで小誌は、「60歳から変えよう!」キャンペーンを始めることにした。周囲の環境の変化に流されて仕方なく生活を変えるのではなく、自分の意志で積極的に選択していくための方策を紹介したい。
最初に取り上げるのは、「かかりつけ医の選び方」である。介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子氏が言う。
「体の調子がだいぶ悪くなってから、慌ててかかりつけ医を探そうとする方が多いのですが、それでは自分に合った人を見つけることはできません。将来を見据えて、元気なうちに自分から動いてかかりつけ医を見つける努力をしましょう」
かかりつけ医を選ぶには、いまがちょうどよいタイミングだと語るのは、貴晶会戸田リウマチ科クリニックの戸田佳孝院長だ。
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source : 週刊文春 2024年10月17日号