先日、家の中にアレが出たんです。

 あの黒くてすばしこいヤツが。

 ちょうどダンナが家に帰ってきてたんですが、彼がパッと私に自分のスリッパを渡すんですよ。私のスリッパは裏が柔らかい素材なんですが、ダンナのは固いんですね。

 要は「これで叩け」いうことなんでしょうが、よくよく考えたら、なんで自分で叩かず、わざわざ自分のスリッパを私に渡すのか。けれどそのときは必死やったんで、「ワー、カーテンの裏に隠れた!」「ギャー、出てきた!」なんて一人で大騒ぎしながら、最後は“ダンダーン!”とやったわけです。

 それを見たダンナが一言。

「うーわ、コワっ」

 一瞬、もっとコワいことを考えてしまった私をおゆるしください、神さま。

Q

50代の主婦です。息子のことでご相談したいことがあります。息子は今年の春、大学を卒業して、証券会社で働き始めました。仕事は個人営業で、毎日たくさんの人と会うそうですが、先日、こんな悩みをこぼしていました。「初対面の人や、あまり親しくない人と、どう話したら良いのかわからなくなってきた。つい黙り込んでしまって、その隙間を埋めようと焦って話そうとすると変なことを口走ってしまう」。

 

 それに対して私は「沈黙って怖いよね」と言ったきり、言葉が続きませんでした。そうです。実は私も人付き合いや会話が苦手なんです。どうすれば誰とでも上手に話せるようになるのでしょうか。上沼さんならどうアドバイスされますか?

 

(53歳・女性 宮城県)

 

 お母さま、これは一番難しいご相談です。どうしたら誰とでも上手にお話しできるようになるのか――私のような無口な女には、荷が重いご相談ではありますが、最近私なりに思うところがあるので、ちょっと聞いていただけますか?

 この頃は、ファミレスに行っても、注文はタブレットで、注文したハンバーグはロボットが持ってきて、お会計はセルフレジです。店に入ってから出るまで、客も店員も一言も言葉を交わさずとも完結できるわけです。よくも悪くも、時代は変わりました。こういう世の中になってみると、私には“あるもの”が鮮明に見えるようになりました。

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source : 週刊文春 2024年12月19日号