歳をとると電話が怖くなる。だれかが死んだ、支払いが残っている、還付金が下りた、墓地を買えなどロクな電話がない。
だが今日は特別だ。わたしの誕生日だ。友人からお祝いの連絡があるはずだ。だが待てど暮らせど一向にかかってこない。
たぶん理由は、友人がいないからだろう。
どいつもこいつも礼儀知らずだと、ふて寝した後、気づいた。わたしに電話するのは畏れ多いと思っているからかもしれない。こちらからかけた。教え子に。
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source : 週刊文春 2024年12月19日号