読売新聞グループ本社の渡辺恒雄主筆が12月19日、肺炎のため、都内の病院で死去した。98歳だった。「週刊文春」は、渡辺氏に関する特集記事を組む過程で、同社の山口寿一社長(67)宛に今後の経営などに関する取材依頼を送っていた。その4日後の12月23日夕方、山口氏本人から連絡があり、同日夜9時、本社31階の応接室で単独取材に応じることになった。

 

 渡辺氏との関係から、新聞事業を取り巻く厳しい環境、デジタル新媒体や築地再開発などの経営多角化に至るまで、“ナベツネの後継者”が約100分間にわたって率直に語った。

 

■読売新聞・山口寿一社長が激白100分

#1 今回はこちら

#2 新事業編「新媒体と読売333は日経潰し?」

#3 興行編「築地新スタジアムが巨人の本拠地に?」

#4 デジタルシフト編「渡辺主筆の遺志を継ぐ?」

「多角化を言い出したのは渡辺さんなんです」

――今後の読売グループについてお尋ねします。少し前から山口社長に権限が委譲されていたとも聞きますが、今回、渡辺主筆が亡くなったことで、経営は“脱渡辺主筆”のような形になるのでしょうか。

「読売にとっては渡辺さんって大変大きな存在なのでね。亡くなったからといって、いきなり“脱主筆”になるとかいうような、急激な変化はない、ですよ。渡辺さんもまだまだ頑張って長生きしようと思ってたと思うんですよね。もちろん色々と仕事を少しずつ減らしてはいたけども、権限が委譲されたというふうには、私は感じていないんです。

 実際に結構頻繁には相談にも行っていましたしね。最後に相談に行ったのは、亡くなる10日くらい前ですかね。読売グループにとって、今後何が最も重要と考えるか。その点について(「週刊文春」記者から取材依頼の)メッセージをもらってね」

単独取材に応じた山口氏 ©︎文藝春秋

――何が最も重要なのでしょうか。

「キーワード的に言うと、私は『多角化』と『連携』だと思ってるんですよ。日本テレビグループとの連携があり、連携というのは、互いが自立していかないとうまくいかない。ところが、新聞産業がなかなか上向かないという状況にあるんで、そうなると、新聞を中核とする読売グループが自立するためには、読売の中での多角化です」

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source : 週刊文春 電子版オリジナル