特大号恒例となりつつある「文春俳壇」。今回も読者の皆さんから、たくさんのご投稿をいただきました。その中から三十句と、いま鑑賞したい名句を俳人の池田澄子さんがご紹介!

 

咳の子のなぞなぞあそびきりもなや 中村汀女

汀女には、家族を詠んだ優しい句が沢山あります。「きりもなや」の言葉から、子の気が済むまできりもなくそばに居て、看病というよりは子を淋しくさせないように見守る姿を感じます。さ、もう寝なさいよ、などと言い聞かせながらも、そばを離れない優しさですね。

 

日のあたる氷りし滝の静けさよ 山川蟬夫

極楽の風景のような一句です。山川蝉夫とは、俳人・高柳重信の別名で、5分以内でさらりと詠んだ時の句に使った俳号。この句の見せる光と無音は、落下の音と飛沫の美を奪われた氷の、それ故に賜った光の塊になった滝、即ち、動かない氷の恍惚の景でしょう。

 

左義長や武器という武器焼いてしまえ 金子兜太

()()(ちよう)」は小正月の火祭の行事のこと。前の年にいただいたお札や年始に使った正月飾りなどを燃やす行事で「どんど焼き」とも言います。盛大な焚火と言ってよいでしょうか。兜太はこの句に寄せて、「戦争を体験した戦中派の私は戦争反対の塊です」と書いています。

 

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source : 週刊文春 2025年1月2日・9日号