追悼 西田敏行 役者バカの流儀
映画
『ステキな金縛り』
『ザ・マジックアワー』
大物演歌歌手にギャングのボス、落ち武者の幽霊まで。数々の三谷作品で笑いと涙を届けてくれた西田さんのことを「憧れの人だった」と三谷さんは語る。
僕の西田さん歴は、中学の時に観たドラマ『新・坊っちゃん』から始まります。西田さん演じる山嵐は、とにかく自由でアドリブも言いたい放題。溢れんばかりのパワーがブラウン管からはみ出しそうなほど伝わってきました。『三男三女婿一匹』『港町純情シネマ』『淋しいのはお前だけじゃない』――その活躍をテレビで追い続け、大学で脚本の仕事を始めてからは、西田さんといつか仕事がしたいとずっと思っていました。
そんなアドリブの名手でもある西田さんに、アドリブで好きにやって下さいとお願いしたのが、映画『ステキな金縛り』です。とはいえ僕も脚本家。悔しいので変な話、西田さんが思い付きそうなアドリブを先に書いてしまおうと意気込んで臨みました。けれど、現場でそれ以上のものが出てくるんです。法廷で落ち武者の幽霊・更科六兵衛が検察官役の中井貴一さんに向かって野次を飛ばす場面では、いきなり喧嘩っぽくなったり、「ちょ、待てよ!」と木村拓哉さんっぽくなったり。リハの度に色んなアドリブを試した上で、一番面白いものを本番で出して下さいました。
最初の2カ月99円 または 初年度9,999円
でこの続きが読めます。
有料会員になると、
全ての記事が読み放題
キャンペーン終了まで
既に有料会員の方はログインして続きを読む
※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。
source : 週刊文春 2025年1月2日・9日号