京アニ放火犯を変えた「父の自殺」と「母の勘当」

「週刊文春」編集部
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 地元・京都に根差し、海外からも高く評価されるアニメの制作に情熱を注いでいた34人の人生が、7月18日、突然絶たれた――。平成以降最悪の放火殺人事件を起こした男は、いかにして悪魔となったのか。狂気を膨らませていった半生を、総力取材で明らかにする。

◆ ◆ ◆

 京都市伏見区の京阪宇治線六地蔵駅から徒歩3分。新興住宅街に佇む「京都アニメーション」第1スタジオの一帯には、今なお夥(おびただ)しい数の硝子の破片が散乱し、すえた煤のにおいが残っている。7月18日午前10時半、スタジオ2階で作業をしていた美術監督が、惨劇の瞬間を振り返る。

「突然、階下からドドドドドッという爆発音が轟き、15秒もしないうちに1階に繋がる螺旋階段からきのこ雲のような黒煙がウワーッと立ち上ったのです。2階から地上まで3~4メートル。『ここから飛び降りんかったら死ぬな』と一か八かでジャンプしました。身体のあちこちを打って、そこから四つん這いで一心不乱に逃げたのですが、それ以降のことは一切わからないのです……」

 その直後、現場では赤いTシャツ姿の異様な風体の男が住民に目撃されていた。

「ジーパンに裸足の小肥りの男の人がヨロヨロと京アニのほうから歩いてきはったのです。髪はチリチリ、ジーパンは燃えていて、黒く焦げた顔の一部は脂肪が見えて白くなっていた。恐る恐る『大丈夫ですか?』と聞いたら、関東弁で『うるさい、ふざけるな! 話しかけるな!』と激昂していた」(近隣住民)

 現場に駆けつけた京都府警の警察官に確保されたのは、職業不詳の青葉真司(41)。スタッフ34人の命を瞬く間に奪うという、残虐な放火殺人を起こしたこの男は、どのような半生を歩んできたのか。

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source : 週刊文春 2019年8月1日号

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