“最後の無頼派”と呼ばれた直木賞作家の伊集院静さんが、肝内胆管がんによって、2023年11月24日に73歳で亡くなってから一年。伊集院さんは小説家としての活躍もさることながら、『週刊文春』の「悩むが花」、『週刊現代』の「それがどうした 男たちの流儀」(『大人の流儀』として書籍化)という連載コラムが国民的人気を集め、さかのぼれば、松任谷由実の1980年頃の一連の伝説的コンサートの演出家であり、「ギンギラギンにさりげなく」「愚か者」などの大ヒット曲の作詞家でもあった。そして、昭和、平成の時代に日本中が知る色男でもあった。

 そんな伊集院さんの後半生を支えたのが、篠ひろ子さんだ。女優として絶頂期だった44歳のときに、2歳年下の伊集院さんと結婚。その後は出演作を減らし、50歳を前に芸能界を去った。故郷の仙台で、夫を支える暮らしに徹するようになって以降は、伊集院さんのエッセイで「家人」として描写されるのみとなった。

1992年、結婚の1カ月前に『受け月』で直木賞を受賞。贈呈式での初・夫婦2ショット。

 今年3月、400人の参列者を集めた「お別れの会」で、篠さんはベリーショート姿で登場すると、家族ぐるみの付き合いの阿川佐和子さんと語り合う形で亡き夫の愛すべきエピソードを明かし、時に笑いを誘った。

記事が掲載されている週刊文春WOMAN創刊6周年記念号の表紙

 伊集院さんの一周忌を前に改めてお話を伺いたいという編集部の依頼に、76歳になった篠さんは話すだけであればと引き受けてくださった。再び阿川さんを聞き手に、24年ぶりにメディアに登場する篠さんがはじめて明かす伊集院さんの最期、3年のはずが31年になった結婚生活、そして芸能界から姿を消した理由――。

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source : 週刊文春WOMAN 2025創刊6周年記念号