「私、もうすぐ54歳になります。夫が亡くなったのも54でした。8歳違いの夫と同じ歳まで生きるとは、あの頃は思えませんでした」
森友事件を巡る情報開示訴訟で逆転勝訴を収めた赤木雅子さん。これは、2月28日、日本ペンクラブの招きで話をした時の言葉だ。事件に巻き込まれて8年、悔しい思いを重ねながらここまで辿り着いた(以下、肩書はいずれも当時)。
連続報道「森友事件」
#11 森友再調査「お手紙は拝読させて頂きました」赤木雅子さんに石破首相から返信
#12 《森友裁判・逆転勝訴までの2522日》赤木雅子さんが語った「決断してよ、石破さん」
#14 赤木雅子さんが石破首相と対面した
#15 今回はこちら
始まりは2017年2月26日、日曜日。雅子さんは夫の赤木俊夫さんと近所の梅林公園で満開の梅を楽しんでいた。その時、夫の上司、財務省近畿財務局の池田靖統括国有財産管理官から電話がかかってきた。
「池田統括が困っているから、僕助けに行くわ」
明るく言い残して出かけていったのに、まさか森友学園との土地取引を巡る公文書の改ざんを命じられるとは……。俊夫さんは反対したが受け入れられなかった。その日を境に暗く沈んだ表情ばかり見せるようになり、1年間悩み苦しんだ末、命を絶った。雅子さんにとって2月26日は最後に楽しい時を過ごした“記念日”だ。
あれから8年。今年の同じ日に梅林公園を訪れた。あの日のように晴れた空。満開とはいかなかったが、五分咲きほどの花と香りを味わいながら語った。
「あの頃は幸せでした。あの日を境に幸せは終わってしまいました。でも今は、少し幸せを感じられます」

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source : 週刊文春 2025年3月13日号