事件の余波は、マスコミの殺到という形で故郷・別海にも届く。父の死後、母は病み、祖父は急死し、家族は散り散りになっていく。木嶋が壊した家族と別海を追った。

 

■連載「ウェンカムイ 死刑囚・木嶋佳苗の生痕」
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 カラマツと白樺の木立が続き、鹿は群れをなして道路を横切る。牧場では牛たちが草を食み、海辺ではオオワシが空を舞い飛ぶ。鶴のつがいは湿原の中に羽を休める。

 人の7倍の牛がいる日本随一の酪農の町、ホタテやサケの漁業も盛んな第一次産業の町である。景色はどこまでも美しく目を奪われるが、町外の人が長く留まる観光地ではない。そんな町に突然、カメラを抱えた人々が大挙して押し寄せたのは、2009年11月のことだった。

「夜、テレビをつけたら、なんだか見たことがあるような景色が映っていた。『あれ? どこだったかな』と思う間もなく、ウチの店の看板が画面に映った。『これ、ウチ? どうして』って本当にびっくりしました」(別海町で商店を営む住民)

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source : 週刊文春 2025年4月17日号